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日本人がほぼ知らない「もう1つのシンガポール」 政府によるデジタルツイン政策とは何か

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  • 坂田 幸樹 株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
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また、多数の部品サプライヤーを組織化して長い時間をかけて製造する必要があった自動車業界にも変化が起きつつある。電動化によってパーツがモジュール化されたことに加え、デジタル技術によって設計図の共有やサプライヤーとのやりとりがやりやすくなったことで、比較的容易に参入できるようになった。

たとえばベトナムの財閥であるビングループは、自社で電気自動車や電動バイクを製造するとともに、それらを用いたタクシー事業への参入を果たしている。

社会を変革する「イノベーション」が生まれている

小売業界も同様である。かつてはPOS端末を全小売店に設置して、データを連携しない限り売り上げを把握することはできなかったが、今はアプリを1つ開発すれば、スマホやタブレットを使用して売り上げをリアルタイムに把握できる。また、QR決済などを使用すれば、顧客データと紐づけることもできる。

その結果、街の小さな小売店で一気に変革が起きている。

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図1─2はベトナムで広く使われている外食店向けのアプリだが、シンプルなインターフェースで、ITリテラシーが低くても使うことができる。これらのアプリは非現金決済にも対応している。こうしたアプリの出現で、ベトナムの小売市場は一気に変化し、現金を持ち歩かない若者も増えている。かつては過疎地に住んでいる患者の診察をするには、医師がわざわざ現地に出向く必要があったが、今はアプリで遠隔診療を実施して、その診断結果を基に患者の自宅に薬を届けることができる。

デジタル技術を単なるツールとしてとらえているのであれば、それは大きな間違いである。デジタル・フロンティアである東南アジアでは、オペレーション改善やストラテジーを実行する手段ではなく、デジタル技術によって社会を変革するイノベーションが生まれているのだ。

先ほどのシンガポールのデジタルツインが好例だが、デジタル技術を活用して生活者のデータを収集することで、結果として生活者の日々の生活を漸進的に改善するだけでなく、街自体の設計を抜本的に見直すことができるようになっているのである。

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