福縁伝授 福原義春著

拡大
縮小
福縁伝授 福原義春著

雑誌連載エッセーの単行本化、第3作である。好奇心、人の縁、礼節、自然への畏敬の念、と4章に分かれているが、話題は経済界きっての文化人・読書人らしく極めて多彩で、いずれも味わい深い。巻頭の「ゴルフをせざるの弁」と「言葉と文字」で展開される読書賛歌では、読書量の低下傾向と出版界の不振に歯止めがかからないことへの危機感がひしひしと伝わってくる。紹介されるフランスの読書推進策とその成果に学ばない手はないだろう。

「ライカの話」は永年にわたるカメラの趣味に裏付けられて厚みがあるし、「美術館論」は著者が館長として改革に成功した東京都写真美術館の経験を踏まえて説得力十分であり、「擬態」は生物学への好奇心なしには書きえない科学エッセーで非常に面白かった。そして掉尾、「文化の捻れ」は軽々には読みすごせない。戦後日本のリーダー不在と文化についての論考は大震災後の今、一段と重要な問題提起となっている。(純)

集英社 2300円

  

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT