自民女性局長「パリ視察」がこうも炎上した理由 松川氏らに厳重注意、自民の女性支援策にも冷水

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一方、今井氏も「女性参院議員のなかでは国民的にも知名度抜群」(参院自民幹部)。公式の経歴は「歌手、女優、政治家」だが、沖縄の人気ユニットSPEEDの元メンバーで、結婚、出産を経て音楽活動を再開し、国民的人気の芸能人として、松川氏と同じ2016年参院選で自民党がタレント候補として担ぎ出して初当選、現在は当選2期。ただ、神戸市議との不倫疑惑でワイドショーに取り上げられるなど私生活でも話題に事欠かない人物だ。

その今井氏は研修から帰国後の30日夜に「『公金を使って無駄だ』という指摘もあるが、無駄な外遊ではない。旅費についても党からの支出と、参加者の相応の自己負担によって賄われている」などと正当性を主張。これに対しSNS上では「今井さんが何を言っても、多くの国民は『あなたが言う?』と反発するだけ」などの書き込みが相次ぎ、「今井氏の“参戦”が炎上を煽り、松川氏への批判にも拍車をかけた」(自民幹部)のが実態だ。

「自民党のおごり、たるみの象徴的出来事」

折しも、自民党は8月1日、今後10年間で女性国会議員の割合を3割とする目標達成に向け、新人に活動費100万円を一律給付する「女性候補者支援金制度」の創設を柱とする支援策を発表したため、同党事務局が「せっかくの女性支援策に水を差された」と頭を抱える一幕も。

そうした中、今回の一連の騒動について自民党内では「全国的炎暑で政局もべた凪状態の中だけに、ワイドショー的にも格好の話題となってしまった」(幹部)と間の悪さを嘆く声もある。ただ、「政界以外の有識者らの反応をみても、自民党のおごり、たるみの象徴的出来事ととらえられ、そのわかりやすさからも、有権者は当分忘れない」(長老)と党内の不安は広がるばかりだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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