訪日客の鉄道旅、英語通じず困った「あるある」集 駅名は固有名詞というこだわりが招く誤解

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日本は先進国で最も英語の通じにくい国といわれている(写真:imageteam/PIXTA)

世界的にコロナ禍が収束し、再び訪日観光客が増えている。国内ではインバウンド需要を歓迎する報道が多いが、日本は主要国で最も英語の通じない国である。日本は安全でトイレの清潔な良い国であるが、世界から見るとコミュニケーションの取りにくい国であることも自覚しておかねばならない。いっぽう、やはり英語が通じなかった韓国や中国では英語の通用度がずいぶん上がったと感じる。何が違うのだろうか。

アジアで一番良かった国が「フィリピン」の衝撃

北京から寝台列車でモンゴルへ向かったことがある。コンパートメントには私とデンマーク人青年、彼はアジア3カ月間の旅の終わりで、ネパールから入り、アジア各国を周遊、北京から列車でモンゴルへ、さらにシベリアを横断して帰国するという。

私はありきたりな質問だが「アジアでどこが良かったですか?」と聞いた。すると彼は真剣に考えてくれたが、意外にも答えは「フィリピン」だった。私は「海がきれいですよね、ダイビングでもしましたか?」と聞くと、「マリンスポーツはやらない」というので、良かった理由を尋ねると「英語がよく通じた」であった。私はしばらく呆然としたが、正直な感想なのだろう。

彼は、ヨーロッパ内は旅行経験があるが、遠い国は初めてで「英語は世界中で通用する」と思っていたらしい。典型的なバックパッカーで、お金を要する観光地などはあまり行かず、行き当たりばったり的な旅に見えた。そういった個人旅行者は「世界遺産」とかではなく、言語が通じる地が旅行しやすい国となる。

日本では「日本は素晴らしい」的なテレビ番組や記事が目につくが、実際はそうでない部分もあるのだ。

いつだったか、「青春18きっぷ」で京都から豊橋へ向かっていたとき、新快速乗車中に「前を走る貨物列車で異音」とかで、新快速はかなり遅れ、滋賀県内の駅で運転打ち切りになった。本来なら乗り継げるはずの米原行き普通列車は先に出発してしまい、結局、次の新快速が米原へ最も早く着く列車となった。

駅の改札あたりをぶらぶらしていると、アジア人の団体が駅員に何やら尋ねているのだが、駅員は日本語で「米原行きは1番線」を繰り返すばかりで、話が通じておらず、アジア人は途方に暮れていた。というより「日本語で言われてもまったく解らないよ」と、怒り気味の表情である。あまりに気の毒だったので、私も外国語は大の苦手であるが、米原行きの来る1番線へ案内した。

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