世界でも突出した長時間労働、「教員の働く環境」日本と他国の決定的差 国際比較調査から見える日本の「リソース不足」

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「TALIS2018の結果では、教科書選定や履修内容の決定などの教員の裁量権が日本は他国に比べて少ない。自律性を支援するためにも、裁量をどこまで認めるかという議論も必要だと思います。また、教員にも主体的・対話的で深い学びが求められていますが、専門職として学び続ける機会にも恵まれていないのが現状です」

TALIS2018によると、日本の教員の職能開発ニーズは他国に比べて高い。担当教科等の分野の指導法に関する能力に関する職能開発ニーズは小中学校ともに60%超で、調査参加国平均の12.8%を大きく上回る。一方で、仕事のスケジュールが職能開発への参加の障壁になっているとの回答が小中学校ともに80%超と参加国平均52.5%より高く、意欲はあるものの多忙なために専門的な職能開発が難しくなっていることがうかがえる。

前出の文科省の委託調査の調査対象国においては、夏休み中に勤務を要さない国も多い。藤原氏は「日本においても、22年度の勤務実態調査によれば、夏休み中は一定程度休暇を取得できていますが、今後は、より自律的に専門性を高められる機会が得られるようになったほうがいい」と指摘する。

また、国立教育政策研究所の研究によると、1人1台端末の導入により授業にICTを活用することで、授業準備や児童生徒と向き合う時間を確保しやすくなる傾向も明らかになっており、「ICTの活用は働き方改革に大きな影響を与える」と藤原氏は期待している。

「教員の働き方改革には、多様な『リソース』と、教員のモチベーションを支える社会からの『リスペクト』が必要だと思います。とくにいろいろな大人が対等に学校教育に関われるようにすることは、教員の負担軽減だけでなく、一人ひとりの子どものよさをもっと発見できる環境にもつながっていくのではないでしょうか」

(文:新木洋光、編集部 佐藤ちひろ、注記のない写真:Kostiantyn Postumitenko/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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