世界が注目する給食や掃除、日本の学校教育「強みと弱み」に見るこれから 国立教育政策研究所・大野彰子氏が語る課題

「国際学習到達度調査(PISA)」などから国レベルの教育課題を分析
――大野さんは、2022年4月から、文部科学省 国立教育政策研究所で2つの組織のリーダーを務めていらっしゃいます。教育データサイエンスセンター、国際研究・協力部ではそれぞれどのような活動をしているのでしょうか。
教育データサイエンスセンターは、21年10月、国立教育政策研究所に新しく設置された組織です。教育は、現場の先生方の経験値で感覚的に語られることもありますが、データによって教育を見える化し教育実践や政策に生かしていくことも求められる中、文科省が実施する各種調査、国の研究成果や自治体の取り組み事例などを集約する「公教育データ・プラットフォーム」の構築などの事業を進めています。
国際研究・協力部は歴史の長い部署で、OECD(経済協力開発機構)の「国際学習到達度調査」(以下、PISA)、「国際教員指導環境調査」(以下、TALIS)などの国際共同研究を進めています。私は、これまでに、OECDパリ事務局に2年間勤務、JICA(国際協力機構)の専門家としてカンボジア教育省の教育政策アドバイザーを2年間務めた経験もあり、日本の教育をグローバルな視点でずっと追いかけてきました。

文部科学省 国立教育政策研究所 教育データサイエンスセンター長(併)国際研究・協力部長
1994年文部省(現・文部科学省)入省。米国留学(コロンビア大学大学院)、岡山県教育庁生涯学習課長、文科省高等教育局国立大学法人支援課課長補佐、OECD教育局アナリスト、カンボジア教育省教育計画アドバイザー(JICA専門家)、国立教育政策研究所国際研究・協力部長、文化庁長官官房国際課長、同文化財第二課長、文科省大臣官房総務課広報室長、同総合教育政策局調査企画課長等を経て、2022年4月より現職。OECD-PISA国内総括責任者。22年11月よりOECD教育政策委員会およびPISA運営理事会の日本政府代表、副議長も務める。23年4月、G7富山・金沢教育大臣会合開催記念シンポジウムで「グローバルな視点から見た日本の教育」をテーマに講演
(撮影:梅谷秀司)
――PISAの実施や運営はどのように行っているのですか?
PISAは、OECDがその国の教育制度の長所や短所を明らかにし、政策立案のための基礎的なデータを提供することなどを目的に2000年から3年ごとに実施している調査です。参加国はOECD加盟国を含めた世界約80カ国・地域の義務教育を終えた15歳の生徒を対象に、読解リテラシー、数学的リテラシー、科学的リテラシー3つの分野で出題し能力を測るのですが、日本では全国の高等学校や高等専門学校など約200校、約7000人の生徒さんに協力いただいて実施しています。3分野以外に、生徒の家庭環境や学習条件などの調査、ICT活用調査も同時に行っています。
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