スバル、EVの「寒冷地対策」で生じる課題と商機 温度管理の技術に注力する電池戦略は実るのか
それでは、スバルがトヨタ自動車と共同開発し、2022年から販売しているEVのソルテラの状況はどうなっているのか。
改めてカタログを眺めると、寒冷地への意識の高さが垣間見える。製品の仕様として、極寒時にも対応できる温度調整システムを組み込んでいるとしており、カタログ上では「環境の変化を問わず常に安定したパフォーマンスを発揮します」と勇ましくうたっている。
ところが、今回の株主総会では「すでに市場に投入しているソルテラでもしっかり温度調整システムを付けているから、寒冷地でのEVのパフォーマンスは心配しなくて大丈夫だ」というような話はまったくなかった。
寒冷地性能はまだまだ課題
この点について、スバル関係者は「現状としては、実はソルテラが(寒冷地における航続距離や充電面などで)必ずしもすべてのユーザーに満足していただけているわけではない」と明かす。
やはり、超低温下など厳しい条件では、カタログ値と実際の航続距離に大きな乖離が出るといった課題があるとみられる。
どうやら、電池の温度管理の技術開発はまだまだ途上のようだが、これからそのハードルを乗り越えられたとしても、懸念はある。
寒冷地に住まないユーザーにとっては、必要以上に高度な電池の温度管理機能をEVに搭載することは、オーバースペックにもなりかねないということだ。
そこに余分なコストがかかってくれば、それは販売価格に跳ね返る。また、温度管理のための機器を入れるために電池周りにスペースが必要ということになれば、電池の積載量に影響するおそれもある。
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