スバル「PHV開発中止」否定でも消えない懸念 強いアメリカ依存、不透明な市場がリスク

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スバルがプラグインハイブリッド車の開発に後ろ向きな姿勢を示している。同社のアメリカ偏重を踏まえれば、将来へのリスクになる恐れもある。

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スバルが主戦場とするアメリカで、電動化がどう進んでいくかはまだ見通せない(記者撮影)

「プラグインハイブリッド車(PHV)の開発は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の開発の延長線上にあり、PHVの開発を中止するという概念はない。PHVを念頭(選択肢)から外してもいない」

2月8日にあったスバルの決算説明会の質疑で、江森朋晃常務執行役員はそう述べた。

2022年12月20日、日本経済新聞はスバルが、「PHVの開発を中止する」と1面で報道。EVに開発資金を集中するためにPHVから手を引き、2023年以降はPHVの新型車を出さないことを伝える趣旨の内容だった。報道は市場に波紋を広げたが、スバル広報部は「当社が発表したものではない」と沈黙していた。

それから2カ月弱経った決算説明会で、江森氏は「開発中止」自体は否定した。その一方で、「PHVはアメリカでも1.4%のシェアしかない。ヨーロッパでは、ドイツがPHVへの補助金を打ち切った。逆風が吹いているように感じる」とも述べて、PHVに消極的な姿勢も示唆した。

江森氏は「アメリカの状況を見て、EVのラインナップを複数持つことに舵を切った。そちらにウェートを置いてやっている」ともコメント。PHVの開発の「中止」はしないが、新型車の開発や販売を「中断」することを決めた可能性は高いようだ。「中止」は一般に撤退を意味するが、「中断」は将来の再開への含みを残す。

主戦場アメリカでどう生きる

スバルがPHVの新型車の開発や投入を実際に「中断」するとして、それが将来にどういう影響をもたらすのか。それは、スバルの販売台数の7割を占めるアメリカ市場の行方に左右される。

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