検査や監査の仕組みの中で、チェックが甘いなどのスキがあれば、不明朗な行為を誘発してしまう。日本では、所管省庁によるいい加減なチェック体制が企業の不正の温床になっている。
2016年以降、自動車メーカーの検査不正が頻発している。三菱自動車、日産自動車、スズキ、スバル、マツダ……。2022年にはこの不名誉なリストに、新たに日野自動車が名を連ねた。
なぜ、こうも不正が繰り返されるのか。所管の国土交通省は、過去の反省を踏まえて検査体制を強化したり、あらかじめチェックの穴を塞いだりはしなかったのか。国交省の担当者を直撃すると、そこには典型的な“官僚体質”による欠陥があることがわかった。
日野は自己検査で不正を行い、バスやトラックのエンジンの排ガス性能や、燃費の性能を偽っていたことが大きな問題になっている。これに対し国交省は2022年9月、不正の背景と監査の強化策を取りまとめて発表した。
日野が不正をしていた検査のうち、商用車向けの排ガス性能の耐久試験は、長距離を走っても排ガス性能が大きく劣化せず基準以上を保てるかを測るものだ。日野はこの耐久試験で、試験データの書き換えや、試験をせずにデータを捏造するなどしてきた。試験途中で排ガスの処理機能があるマフラーを交換したこともあった。
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