小学1年生の担任が2学期までに目指したい学級のあり方、保護者との関係性 学力差、生活スタイルの定着など課題は山積

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子ども同士のトラブルはうやむやにせず、徹底して事実確認

前述の通り夏休み明けは気が緩み、トラブルが起きやすい時期でもある。例えば登下校中の寄り道や、大人の目が届かないところで遊びたがる、そして人間関係のいざこざだ。

「入学時の緊張が解け、友達同士のけんかが増えます。けんかが起きたら担任は、双方の話をそれぞれ聞いて、2人の話が一致するまで懇々(こんこん)と事実を突き詰めていきましょう。冷静に事実を問われるうち、ヒートアップしていた児童も落ち着きを取り戻し、『これが嫌だった』『こう言ってしまった』と振り返りができるようになるのです。

最も避けるべきは、トラブルをうやむやにすること。一方が納得しないまま終わらせてしまうと、親子ともに学校や相手方に不信感を抱き、後からさらに大きな問題になることも。小学生は人間関係の築き方を学ぶ時期でもあるので、時間はかかっても『ごめんね』『僕もここが悪かったよ』と子ども自身の口から出てくるまでは向き合うべきです」

まず一方の話を聞いて記録し、次にもう一方の話をよく聞く。どちらかが相手を叩いてしまったのなら、どこを、何回、グーかパーか、など、完全に一致するまでとにかく話をすり合わせることで子どももクールダウンしてくるという
(画像:Fast&Slow / PIXTA)

一方で宇野氏は、保護者の協力も必要不可欠だと話す。例えば、なるべく子どもに考えさせて自分で決めさせようと意識したり、親の口出しを10回から7回に減らすだけでも効果がある。子どもとの時間が増える夏休み、家庭では何に気をつけるとよいのだろう。

「夏休みは子どもにぜひ、仕事を1つ与えてほしいです。毎日カーテンを開ける、など簡単なことで構いませんが、『お手伝い』ではなく『仕事』とすることで、子どもは自分が家族の一員だと自覚し責任感が芽生えます。できれば、『これをしなさい』と親から一方的に与えるのではなく、子どもが自分でしたいこと、できそうなことを話し合って決められるとさらに望ましいです。いざ決まったら、『仕事はしたの?』『やりなさい』と先回らずに見守るようにしましょう。できた時は『ありがとう。またよろしくね』と伝えることで、子どもは充足感を覚えます。

夏休み明けは学芸会や学習発表会などの行事があり、団体の中で自分ができることを見つけ、それを伸ばしていく機会が増えます。こうした行事は、自分が日々精いっぱいやってきたことや他者のために貢献してきたことが発揮される場です。集団の中で自分がどう貢献するか考える準備として、まずは自分から家族の役に立つ仕事をする経験をさせてみてください」

初めての夏休みで、休み明けは学校での指導や習慣を忘れてしまう児童も多いだろう。2学期から再び学級を束ね、保護者と協力できる信頼関係を築けるよう、参考にしてもらいたい。

(文:酒井 明子、 編集部 田堂友香子、注記のない写真: zon / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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