新年度のスタートで重要「学級開き」成功のコツ、指導効果の高い教師の共通性 上越教育大・赤坂真二教授が具体例で指南

学級開きの意味から考える学校に来る意味
この一年いろいろなことがあったことでしょう。思い出に浸りながらも学級担任の皆さんは、新年度をどのように迎えようかと考えている方も少なくないのではないでしょうか。2020年の春に突然始まったコロナ禍でしたが、23年の春にさまざまな制限が解かれ、マスクをしなくていい学校生活が始まろうとしています。

国立大学法人上越教育大学教授
19年の小学校勤務を経て2008年4月より現職。現在は、教員養成にかかわりながら小中学校の教育活動改善支援、講演、執筆活動をしている。学校心理士、日本授業UD学会理事、日本学級経営学会共同代表理事、NPO法人全国初等教育研究会(JEES)理事。『指導力のある学級担任がやっているたったひとつのこと』『アドラー心理学で変わる学級経営』『学級経営大全』(いずれも明治図書出版)、『赤坂版「クラス会議」完全マニュアル 人とつながって生きる子どもを育てる』(ほんの森出版)など著書多数
(写真:赤坂氏提供)
しかし、すべてにおいてコロナ禍が始まる前と同じになるかというと、そうはならないと考えています。その最も大きな要因の1つに、学校教育がオンライン教育という選択肢を得たことです。つまり、通学しなくても教育を受けることができる可能性が一般の児童生徒にも開かれたということです。
これはさまざまなメリットをもたらした一方で、児童生徒、保護者を含めて学校教育に関わる人たちに、学校に来る意味を改めて問いかけました。小中学校の不登校児童生徒が24万人を超える今、学校は総力を挙げて「学校に来る意味」を捉え直し、そして学校の魅力を高めることが求められているのではないでしょうか。
教師と児童生徒が学校生活をつくりあげていくうえで、導入期の約1カ月の重要性を主張する実践家は数多くいます。しかし、20年度採用の先生方の中には、その期間を完全休校や分散登校、オンライン授業などで過ごしたため、これまでの先生方が学んできたであろう学級の基盤づくりを学習できなかった方もいると聞きます。
そもそも学級開きに象徴される学級経営に関わる知識やスキルに関しては、学術的知見の蓄積が少なく、大学の教員養成でも必修科目として扱われていませんので、客観的な検討がなされていない分野の一つと指摘されています。学校に来る意味が問われている今、ここで学級開きを例にして学校に来る意味を考えてみたいと思います。