新年度のスタートで重要「学級開き」成功のコツ、指導効果の高い教師の共通性 上越教育大・赤坂真二教授が具体例で指南

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小学校1年生と中学校1年生の担任「学級開き」2つの実践

具体例として、自著「学級を最高のチームにする」極意シリーズの『一人残らず笑顔にする学級開き 小学校~中学校の完全シナリオ』(明治図書出版)から2つの実践を紹介します。

まず、新潟県小千谷市立小千谷小学校 教諭 近藤佳織氏が、小学校1年生の担任をした時の実践です。近藤氏の学校では朝、教室で新入学児童とその保護者を迎えます。そこでの出会いの語りです。

「もうすぐ入学式が始まります。入学式では、(指を指しながら)近藤先生が、皆さんの名前を順番に呼びます。名前を呼ばれたら、元気に『はいっ』と言ってその場に立ちましょう。ちょっと練習してみますよ。Aさん、Bさん、Cさん……。また、入学式の途中で『1年生の皆さんは立ちましょう』と言われることがあります。そうしたらみんなですっと立ってください。やってみましょう。これから6年生が体育館へ連れていってくれます。近藤先生が呼ぶ順番に廊下に並びましょう。並んだら6年生と手をつなぎましょう」

入学式が終わると、近藤氏は1年生を先導して教室に入り、まずこう言いました。

「皆さん、よく頑張りましたね。ドキドキした人? 疲れた人? トイレに行きたい人はいませんか?」。そして、全員がトイレから帰ってきたことを確認してから言いました。「1年生の皆さん、入学おめでとうございます。入学式では、長い時間、座ってお話が聞けてすばらしかったです。かっこよかったですよ。先生は、皆さんに会えるのをずっと楽しみにしていました。楽しみで楽しみで昨日は眠れませんでした。会えてうれしいです!」

次は、富山県滑川市立滑川中学校 教頭の海見純氏が、中学校1年生の担任になった時の実践です。こちらは入学式後の語りです。

「皆さん、お疲れさまでした。今回の入学式、100 点満点で言うと、150 点でした! 全員が顔を上げてビシッと座っている、ちょっと練習しただけの答礼は完璧で、おしゃべりする人はゼロ……。私は、なんて立派な生徒たちなんだろうと、感動しながら見ていたんですよ! 実は、先生は入学式前のお話で、生徒会長が歓迎の言葉を読み上げる時に『椅子から立ち上がって、椅子を180度回して、先輩のほうに向き合って座るんだよ』と言うのを忘れていました。式が始まってからそのことに気づいて『うわっ、しまった!』と、内心ドキドキしていたんですよ。でも、みんなは司会の先生の指示に従って、とっても整然と回れ右をしていました。(中略)本当に、君たちと一緒に過ごす一年が楽しみになりましたよ!」

生徒を褒めた後、教科書配布の場面です。

「すべての教科書がありましたか? 今の時点でない教科書があれば申し出てください。また、今の時点で乱丁・落丁があれば、申し出てください。お家に帰ってから、もう一度乱丁・落丁がないか確認してください。乱丁・落丁がなければ、マジックで名前を書いておいてください。名前を書いてしまうと乱丁・落丁があっても取り替えてもらえませんからね。もう一度、言います。まず、乱丁・落丁がないか確認します。次に、マジックで名前を書きます。新入生みんなが同じ教科書を使うわけですから、必ず自分のものだとわかるように名前を書いておきます」

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