小学1年生の担任が2学期までに目指したい学級のあり方、保護者との関係性 学力差、生活スタイルの定着など課題は山積

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「どんな子にもまだできないことがあり、必ず課題があります。得意なことは友達に伝えてあげることで、さらに理解が深まります。例えばひらがなの書き方なら、すでに書ける子にはよりきれいに、はみ出ないようになぞり書きをするというハードルを与えました。いずれにせよ挑戦すること自体に意味があるので、すべての子に花丸をあげます」

それでも苦手が残った子には、宇野氏が休み時間でフォローすることもあるという。保護者の多くは、わが子が学習についていけているか心配しているため、取り組んだ成果は保護者にも見せ、課題がある場合は「ここは指示と異なることをしてしまったようです。しかし、ここまでは集中して取り組めています。集中力さえあればできるはずです」などと共有して家庭でのサポートを助言し、成長に向けて協力する体制を整える。

学級経営の方針を保護者に明確にしておく

このように、保護者もわが子の生活には不安を感じており、同時に担任教師には非常に高い関心を寄せるものだ。一度不信感を持たれてしまうと、その後のクレームなどにもつながりかねないが、担任はどう信頼関係を築くべきか。

「私は、懇談会で学級経営の方針を明確に伝えるようにしています。いくら子どもに『あいさつをしなさい』『時間を守りなさい』と指導しても、その子が理由に納得できていなければ不満として保護者に伝わり、担任への不信感が募ります。そこで早めに、『私の指導はすべてここにつながっています』と説明しておくとよいでしょう。

ここで注意すべきなのが、例えば『あいさつができる子になってほしい』というのは表面的な行動にすぎないということです。実際は『自分と違う未知のものを受け入れることができる』ことの一環としてあいさつがあります。私の場合は『他者の命を大切にできる人になってほしい』から、コミュニケーションの端緒となるあいさつを重んじ、時間や約束を守らせています。また同じ理由で、どんな場合でも暴力は絶対に許さないことも伝えています」

宇野氏には、「他者の命を大切にできる人になってほしい」に加えてもう1つ方針がある。それが「自分で考えられる人になってほしい」ということだ。

「他者を大事にすることと自立することはセットだと考えています。中には、過度な心配や介入をしてしまう保護者もいますが、先回って手助けばかりすると、子どもが何でも人のせいにしたり、自分らしく生きることを手放してしまう可能性があることを伝えています。親が考える以上に、子どもは失敗から学び成長するものです。確かにわが子が忘れ物をしたらかわいそうだと思うかもしれませんが、『失敗させましょう。困ったときにどうするか考える場にしましょう』と、見守る関わり方を一緒に考えていこうと伝えて理解してもらいます。面談でも『〇〇さんは先日も、私が言う前に自分で気づいて動けましたよ』と、自立に向かって成長している様子を報告するよう心がけます」

とくに小学1年生の保護者は、教師に親身な態度が見られないと不安になりがちだ。宇野氏は「心配なときはいつでも相互に連絡しましょう」とオープンな態度で接するという。大事な子どもを、家庭と学校と同じ熱量で育てる気持ちを示すと、保護者の安心にもつながるそうだ。とはいえ、経験の浅い教員は、過度な要求にまで丁寧に対応して自身の健康を害したり、「先生には子どもがいないくせに」などと言われてしまうことも。教員は1人で約30人の子どもを見ている。あくまでもへりくだりすぎず、教育のプロとして対応することがコツだそうだ。

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