統合で誕生する「東京科学大学」で目指す姿、国際卓越研究大学に申請した理由について、東工大の益学長と東京医科歯科大の田中学長が語った。
――統合に至った経緯を教えてください。
田中 本学の病院がコロナ患者を都内でいちばん多く受け入れた経験から、社会との関わりを強く意識するようになった。より社会に貢献するには医学歯学だけでは限界があると考えた。
大学の収益を考えると、政府からの運営費交付金は限られているし、病院収入も大きく伸びるものではない。そうなると外部資金で伸ばすしかない。実際、外部資金は増えているが、より成長するためにはフィールドを広げ、工学系と連携するのがいいと考えた。4大学(ほかに東京外国語大学、一橋大学)連合で関係があった東工大の益学長に「ご一緒しませんか」と持ちかけた。
統合ぐらい思い切らないと世の中を変えられない
益 東工大の学長として2022年からの中期目標・中期計画を考え始める時期だった。大学統合くらい思い切らないと、世の中を変えられないと思い、田中学長に「本気?」と聞いたうえで提案した。
田中 当初は、共通の研究所を作ったり、一法人2大学にしたりというイメージだったが、この2大学は持っている学部がほとんど重ならない。合理的だし、「覚悟を決めてやりましょうか」となった。
――統合で想定されるシナジーをどう考えていますか。
益 独立でも生きていける大学同士が一緒になったらプラスしか出てこないはず。1+1を3にでも4にでもできるという意志を持つことが大事だ。
技術が医療を支えているという意味では医工連携は当然進む。AI診断など、理工学や医学歯学の融合は何か出てくるはず。ただ、それだけが新しい大学の姿ではない。
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