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国際卓越研究大で大学と文科省に吹く「隙間風」 数百億円規模の支援だけでは研究力向上は困難

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研究力向上のアプローチに関して、大学と文部科学省の間に温度差が見られる。

10兆円ファンドの運用益を基に世界と互角に戦える大学をつくりだす「国際卓越研究大学」に10大学が申請

特集「国際卓越研究大学候補校の本気度」の他の記事を読む

研究力向上の起爆剤として設立された10兆円ファンド。その支援対象となる国際卓越研究大学に10校が名乗りを上げ、秋頃までに認定校が決定する。1校あたり年間最大600億円もの支援金が最長25年と長期にわたって受け取れることになる。国際卓越研究大学の制度は本当に研究力向上につながるのか? そして申請校の本気度は? 本記事を含め全7回にわたり、その中身や、各校トップ・担当者のインタビューをお届けする。
【今後の配信予定】
6月21日(水)配信 早稲田大学:田中愛治総長インタビュー
6月22日(木)配信 東京科学大学:東京医科歯科大学田中雄二郎学長&東京工業大学益一哉学長インタビュー
6月23日(金)配信 東京大学:太田邦史副学長インタビュー
6月24日(土)配信 東京理科大学:石川正俊学長&樋上賀一常務理事インタビュー
6月26日(月)配信 筑波大学:永田恭介学長インタビュー
6月27日(火)配信 東北大学:青木孝文副学長インタビュー

もうウンザリだ

申請の段階から「こう書きなさい」「書き直してくれ」と文部科学省から口出しをうける。もうウンザリだ――。

「国際卓越研究大学」への認可申請を行ったある大学の幹部は、同制度についてこうぼやく。

世界最高水準の研究大学を生み出すべく岸田政権が目玉政策として立ち上げた10兆円規模の大学ファンド。その運用益で大学を支援する制度だが、その支援金を受け取ることができるのが国際卓越研究大学だ。

国際卓越研究大学は国立大学8校、私立大学2校の計10大学が申請し、文科省の審査を経て認可される。その顔ぶれをみると国立大学では北海道大学を除く東京大学や京都大学など旧帝国大学、筑波大学など難関国立大学が並ぶ。東京工業大学と東京医科歯科大学が統合し、2024年度中に設立される東京科学大学も名乗りを上げた。私立大学では私学の双璧の一つ、早稲田大学と私立の理系総合大学のトップである東京理科大学も申請している。

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