就活エリートの迷走 豊田義博著

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エントリーシートでも面接でも「あなたが大学時代に力を入れたことは何ですか?=自己PR」「(当社に入社したら)あなたがやりたいことは何ですか=志望動機」とほとんどの企業が聞く。真面目に就活に取り組む学生は「やりたいこと」探しに熱中しながらアイデンティティを形作っていく。

企業にとって「やりたいことは何ですか?」は採用するかどうかの判断材料の一つに過ぎない。しかし自己分析から始め、たくさんの企業のエントリーシートに「やりたいこと」書いてきた学生は、面接での「やりたいこと」の質問を額面どおりに受け取る。そして内定が得られたら、自分の思いが評価されたと思い込む。志望どおり部署に配属されるものと信じ込む。ここに大きなズレが生まれている。

本書を読んでいくうちに、現在の採活・就活は大きな錯誤の上に成立しているのではないか、と考えざるを得なくなった。正確に言えば始まった頃に意味があったとしても、現在は弊害が大きくなっているのに依存し続けているという印象だ。

「自己分析」という言葉は1993年から毎年出版されている『絶対内定』で使われてから広まった考え方であり、「エントリーシート」はソニーが大学名不問採用で導入した手法だ。まだインターネットが一般的なものではなく、大学進学率も低かった時代だった。

しかし十数年前から就職ナビが普及し、現在の大学進学率は5割を超えた大学全入時代だ。新卒採用環境が激変したのに、この4、5年に進行しているのは採活・就活のパッケージ化、画一化、マニュアル化。こんな採用の仕組みは変わらざるを得ない。

著者の「就活改革のシナリオ」は終章で語られる。見出しのみを紹介しよう。

大学生に関する社会幻想のリセットから始めよう/採用活動・就職活動の時期を分散化しよう/採用・就職経路を多様化しよう/企業が求める人物像は、ひとつではない/次世代リーダーへの渇望感が生んだミスリード/大卒のキャリア・コースを多様化しよう/多面的な選考プロセスをデザインしよう/本物のインターンシップを実施しよう/日常で獲得・発揮した能力を可視化する仕組みを作ろう/入社後の活躍をゴールにした選考の再設計を/大学生を「お客様扱い」するのをやめよう/エントリーシートを廃止しよう/就社を推奨しよう/就活が変われば、社会は変わる

かなり刺激的な提案だ。

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