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檀家制度の崩壊で始まった仏教界の仁義なき戦い 行き先がなくなった「遺骨」と「墓」の奪い合い

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仏教界では生き残りをかけた仁義なき戦いが繰り広げられている。

苔むす古いお墓
地方では手入れの行き届かない墓が増えている(写真:PIXTA)

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6月5日発売の『週刊東洋経済』では「宗教消滅危機 消えゆく寺・墓・葬儀」を特集。少子高齢化や過疎化、葬儀の簡素化で宗教の出る幕が急速に失われつつある。宗教はこのまま消えゆくのか。機能不全に陥る伝統宗教、衰退する新宗教の「今」を追う。
週刊東洋経済 2023年6/10号[雑誌](宗教 消滅危機)
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江戸時代に宗教統制を目的としてつくられた檀家制度が崩壊寸前だ。人口減少や都会への人口流出による過疎化に歯止めがかからず、先祖の墓を守ってきた菩提寺を支える基盤がなくなりつつあるからだ。

檀家制度は、イエ制度や先祖崇拝の側面が強く、菩提寺に対する人々の感謝の気持ちこそが基盤だった。その根底には家長制度があった。現在まで続く「○○家の墓」は、長男が継いできたケースが多い。長男以外の者はすべてバックアップに回り家の存続を最優先にしたのだ。

終戦後、日本経済は右肩上がりに成長し、成長するにつれ人口も増えた。分家が独自に墓を持ったりしたことで墓地不足まで起きた。

慣習は過去のものに

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