有料会員限定

人々から「必要とされる寺」になるための具体策 人々の悩みや絶望に寄り添う寺は参拝客が増加

✎ 1〜 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 最新
拡大
縮小

護持困難な寺が増えているが、「開かれた寺」には人が集まっている。

葬儀会場で棺に向いて手を合わせる人物
高齢者の葬儀は簡素化が進んでいた。それがコロナ禍によって加速した(写真:良いお寺研究会)

特集「宗教 消滅危機」の他の記事を読む

6月5日発売の『週刊東洋経済』では「宗教消滅危機 消えゆく寺・墓・葬儀」を特集。少子高齢化や過疎化、葬儀の簡素化で宗教の出る幕が急速に失われつつある。宗教はこのまま消えゆくのか。機能不全に陥る伝統宗教、衰退する新宗教の「今」を追う。
週刊東洋経済 2023年6/10号[雑誌](宗教 消滅危機)
『週刊東洋経済 2023年6/10号[雑誌](宗教 消滅危機)』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

丸3年に及んだコロナ禍は、日本仏教の慣習を根底から揺さぶるものとなった。葬儀の簡素化は一層進み、寺を取り巻く経済環境は厳しい状況が続く。一方で、仏教に救いを求める人々は少なくない。コロナ禍を通じて、寺院本来の役割が浮き彫りになっている。

寺の経営を支えているのは主に3つの柱だ。葬儀や法事などの弔いに対する布施、花祭りや施餓鬼などの年中行事での収入、そして墓地の管理費、である。京都や鎌倉などで見かける、拝観料が主な収入である寺院はむしろ特殊といえる。

つまり寺は、定期的に檀信徒が寺に集うことで、宗教的にも経済的にも維持されてきた。だがコロナ禍によって、「3密」回避を余儀なくされた。地域の紐帯(ちゅうたい)としての寺院の機能は途端に失われた。

参列者のいない葬儀

次ページ一日葬が地方都市にも一気に広がった
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
宗教 消滅危機
先に逝った家族、親族らが静かに見守っている
寺院経営に「企業の論理」をフル活用する手腕
行き先がなくなった「遺骨」と「墓」の奪い合い
人口減と葬儀の簡素化で宗教離れが止まらない
需要は伸びず供給過多で高まる経営破綻リスク
止まらない葬儀の簡素化をコロナ禍が拍車
人々の悩みや絶望に寄り添う寺は参拝客が増加
池田大作名誉会長を熱狂支持した世代が退場
菊池真理子(漫画家)✕正木伸城(ライター)
解散命令請求に立ちはだかる「組織性」の立証
「輸血禁止」や「ムチでの体罰」だけではない
社会全体で「虐待された子ども」を守るべきだ
死後3ヶ月たっても内部は「大川総裁」のまま
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内