「人生終わった」から抜け出す人が口にする一言 がん患者の心を救う「ユー・モア」の本当の意味
答えの出ない「なぜ?」から、いつまでも離れられないでいるのは良くない。
まず、「私ばかりが不当にひどい目にあっている」と思い続けているうち、気持ちが暗くなってきます。
しかも、この「なぜ?」には答えが返ってきませんから、同じ問いをただ繰り返すだけになり、どんどんと心は暗くなり続けます。そのうち、心が病んで、抑うつ症状となりかねないんです。
「なぜ」という不毛な問いにこだわるよりも、私がお勧めするのは、こう問いかけることです。
「いかに?」
例えば、がんに関する疑問について、「なぜ私が」という問いの代わりに、「いかにして私ががんになったのか?」と問いかけるとします。
すると、専門の医師から、即座にこんな答えが返ってくるんです。
「細胞分裂の際に一定の確率で遺伝子のコピーミスが起こるため、がん細胞が発生します」
もちろん、この答えを得たからといって、自分ががんになったことの理不尽さがなくなるわけではありません。けれど、頭の中から、「なぜ?」という不毛な問いが、ほんのしばらくでも消えてくれます。
このことが大きいんです。なぜなら、心が落ち着くきっかけになるからです。
そして、もう少し落ち着いたら、今度はぜひ、
「いかにすれば、がんを治せるのか?」
と問いかけてみてください。これに対しても、現代の医学からは、即座に具体的な答えが返ってくるはずです。そして、問いかけへの具体的な答えを得る、その手ごたえを感じていくうち、やがて、心が少しずつ前向きになっていきます。
このように、「いかに?」を考えることで頭の中から「なぜ?」が自然と消えていき、心が明るくなりやすいんです。
「人生終わった」は孤独への入り口
また、初めてがんだと知って、多くの人が抱いてしまうのが、
「私の人生はこれで終わりだ」
という絶望感です。
「もうすぐ死ぬんだ」と命の終わりを思う人もいますし、あるいは、「これで自分のキャリアは終わりだ」と、ご自分の仕事についての夢をあきらめる人もいます。
しかし、これらはどれも、少々結論が早すぎます 現在、多くのがんは治せるからです。
がん検査の技術が向上しており、治る見込みの高い初期のうちにがんを発見できるようになっています。もう少し進行したがんや、かつては治療の困難だったがんについても、治せる確率が格段に高くなってきているんです。
ですから、がんを告知されたからといって、すぐに命が終わると決めつけるのは早すぎるわけです。
また、現在ではがんを治療しながら働くことのできる場合が多くなっています。ですから、今までとは違い、がんを治しながらでも上を目指すことは必ずしも不可能ではありません。
ですから、がんになったからといって、すぐに仕事での目標や夢をあきらめる必要もないわけですね。
もっとも、今の時代、ネットで検索すればたいていのことは教えてくれますから、こんなことはがんを告知された人はとっくに調べて知っていることでしょう。ですから、現代医学の成果を確かめれば、冷静にがんと向き合うことができるだろうと、がんになったことのない人には、そんなふうに思えるかもしれません。
けれど、実際は、そんなに単純にはいかないんです。現代では多くのがんは治ると知ってもなお、「もう私の人生は終わったんだ」と短絡的に思ってしまうのが現実です。
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