地域に開かれた学校へ、公立の42.9%が導入「コミュニティ・スクール」の今 東京・三鷹市は小・中学校をまとめて○○学園に

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2022年9月に文部科学省から発表されたデータによると、公立学校のコミュニティ・スクールの導入率は42.9%になった。前年度の33.3%から拡大傾向が見られるが“開かれた学校”が掲げられているものの、地域や学校ごとに取り組みが異なり、いまだ閉鎖的な学校も少なくない。東京都三鷹市は、かねて市内のすべての学校をコミュニティ・スクールに指定。これを基盤に小・中一貫教育を推進し、地域とともにある学校づくりを実践している。近年は、学校を核とした「スクール・コミュニティ」にも力を入れ、各校にスクール・コミュニティ推進員(「地域学校協働活動推進」の三鷹市での呼称)を配置し教育活動・交流活動をサポート。三鷹市のこれまでの取り組みを取材し、「地域に開かれた学校づくり」のヒントを探る。

コミュニティ・スクールを基盤とし、小・中一貫教育を

学校、保護者、地域住民が協働しながら子どもたちの成長を支え、「地域とともにある学校」を表す「コミュニティ・スクール」。2017年に法改正され、導入が教育委員会の努力義務となって以降、全国で拡大傾向が見られる。

東京都三鷹市では、全国に先がけ市内すべての公立小中学校(小学校:15、中学校:7)をコミュニティ・スクールとした。市民による学校運営への参画、教育活動への支援など、学校・家庭・地域がそれぞれ当事者意識を持ち児童生徒の教育に当たってきた。

「コミュニティ・スクール」を基盤とし、中学校とその学区内にある2〜3校の小学校を1つのユニットとして「○○学園」と命名。児童生徒は現在の小・中学校に在籍しながら、現行の6・3制の下、9年間の一貫カリキュラムを通して学びを深める小・中一貫教育を推進している。23年4月現在、三鷹市には7つの「学園」が存在する。

「06年に三鷹市最初の小・中一貫校となる『にしみたか学園』(第二小学校、井口小学校、第二中学校)を開園以来順次開園を進め、09年にすべての学園がそろいました。市教委では、学園ごとに月に1度のペースで授業研究を行い、小・中一貫カリキュラムの検証を位置づけ、年度が変わるごとに改善を繰り返してきました。20年から市独自の学力テストを実施していますが、児童生徒の学力向上傾向が見て取れます」と言うのは、09年から同市のコミュニティ・スクール施策に関わる三鷹市教育委員会教育部 総合教育政策担当部長の松永透氏だ。

松永透(まつなが・とおる)
三鷹市教育委員会 教育部 総合教育政策担当部長
全国コミュニティ・スクール連絡協議会 事務局長
(撮影:尾形文繁)

三鷹市では、小学校の教員も中学校の教員も児童生徒の義務教育9年間の教育を「本務として」行えるよう、すべての教員が学園の小・中学校両方の教員として、東京都教育委員会から「兼務発令」されている。

「小・中学校の相互乗り入れ授業を“出前授業”的ではなく、時間割にシステム的に組み込むことで、中学校教員が小学校での学びから新たな気づきを得たりするなど、各教員は自身の教員としての資質を高めるよい機会になっているようです。乗り入れ授業により自分の授業を空けることになりますが、その時間は市独自で雇用する非常勤講師を配置しフォローすることで、業務の多忙化につながらないよう配慮しています」(松永氏)

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