地域に開かれた学校へ、公立の42.9%が導入「コミュニティ・スクール」の今 東京・三鷹市は小・中学校をまとめて○○学園に
保護者や地域を巻き込む仕掛けが大切
さまざまな保護者や保護者OB・OGが「学園サポーター」として気持ちよく活動し、学校や教職員への支援を適切に行うためには、学園・学校の教育方針を共有し、同じ方向を向いて支援してもらうことが大切だ。
そのため、「学園サポーター」には、学校に関わるための基本的なルールやボランティアの考え方などについての理解を促す説明会を設けているという。
「授業サポートに入るときなど、保護者はつい、よかれと思って子どもに注意したり、手を貸してあげたりなどしてしまいがちです。子どもの学びにつなげる意味でも、本当に危険なとき以外は基本見守りに徹し、手を出しすぎないようにすることの大切さについても丁寧に伝えるようにしています。
三鷹市では、学校図書館に司書が常駐し、週末には地域開放を行っています。子どもたちや地域の人たちが気軽に足を運べる場所として、今後は掲示ボランティア活動やお話会なども開催しながら活性化させていきたいですね」
こう語る山田氏に、福島氏も続く。
「ボランティアというと聞こえはいいですが、一歩間違うとお互いの信頼をなくしてしまう可能性もあります。三鷹市ではこれまで時間をかけて、学校、保護者、地域がお互いの立場で学び合いを続けてきました。だからこそ、安心してコミュニティ・スクール委員会やスクール・コミュニティ推進員さんにいろいろな相談ができる今があります。『多くの保護者は、ボランティア活動を生涯学習の一環として捉え、善意で学校をサポートしています。先生方からの“ありがとうございます”という感謝の気持ちは受け取りますが、“(いろいろご協力いただいて)すみません”とは言わないでくださいね』という言葉をいただけたときは、とてもうれしかったですね。これからも地域で一体となって、子どもたちが育つ環境を豊かにしていきたいと思います」
各校にはPTAも存在するが、自校に根差し、自校の保護者がメンバーであるのがPTA、保護者以外もメンバーで、自校だけでなく学園傘下の3校を見るのがコミュニティ・スクールというすみ分けだ。
「共働き世帯が増える中、PTA活動全体で見ると省力化が進んでいますが、新年度、1年生の保護者を対象に学校探検を行うなど自主企画も生まれています。前例に縛られず、自校の子どもたちの健やかな育ちにつながる活動に自由な発想で取り組んでほしいと思います」(福島氏)
一連の取材を通して、三鷹市教育委員会の求心力、学園・学校・保護者・地域の良好な関係、保護者や保護者OB・OGの“地域愛”が伝わってきた。
「コミュニティ・スクールの推進に大切なのは、校長先生が保護者や地域の人たちを信じ、どんな学校をつくりたいのか思いを込めて発信すること、『あらゆる力を結集して、わが子を通わせたいと思う学校を一緒につくっていきましょう』と巻き込む仕掛けをつくること。すべてはここから始まるのではないでしょうか」(松永氏)
(注記のない写真:三鷹の森学園)
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