地域に開かれた学校へ、公立の42.9%が導入「コミュニティ・スクール」の今 東京・三鷹市は小・中学校をまとめて○○学園に
「学校施設の共同利用については、防犯などを理由に抵抗感のある教員もいるのが現状ですが、『学校を、地域のさまざまな方が集まる活動拠点にする』ことを目標に、各校と連携を取りながら、実現に向け進めていきたいですね」(松永氏)
学校のニーズを聞き取り学校と地域の連携を進める
「コミュニティ・スクール委員会やスクール・コミュニティ推進員さんは、学校にとって、“困ったときに頼りになる相談先”のような存在です」と言うのは、三鷹市立第五小学校校長・三鷹の森学園学園長の福島健明氏だ。

三鷹の森学園 学園長 三鷹市立第五小学校 校長
(撮影:長島ともこ)
コロナ禍が続く中でもオンラインを利用して月1回の全体会議を開催し、情報共有や意見交換を継続してきた。
「活動報告に終始するなど、ともすると形骸化しがちな会議を、『自分たちに何ができるのか』について考える有用な場と位置づけ、委員の皆さんに積極的に参加いただいています。当学園では、漢字検定、英語検定、数学・算数検定の学校を会場とした運営・実施、タブレット学習を充実させるためのゲストティーチャーの選定、総合学習や町探検の引率補助、授業のサポートなど教員の負担感により学校のみで運営するのが難しい教育活動を、保護者の方や地域の方々に上手にフォローいただきながら、子どもたちの学びを深めています」(福島氏)

前述したような学校のニーズを聞き取り、学校や地域との連携を進めるためのコーディネートを行うのが、三鷹の森学園スクール・コミュニティ推進員の山田晶子氏だ。山田氏は同学園の保護者OGで、コミュニティ・スクール委員として8年間活動し、検定運営をサポート。20年からスクール・コミュニティ推進員となり、同学園の第三中に設けられたデスクや自宅で活動を行っている。
学園には、学校が必要とするお手伝いに、できる時に応じる保護者や保護者OB・OGからなる「学園サポーター」が存在する(学園全体で約200名がメール登録/23年3月現在)。

三鷹の森学園 スクール・コミュニティ推進員
(撮影:長島ともこ)
「例えば、学校から『○月×日、△△小2年生の町探検引率補助を5名お願いします』という依頼が届いたら、私からサポーターさんに一斉メールで募集をかけ、対応していただく方が決まります。その方に詳細をメールで連絡し、当日出向いてもらうような流れです。自分の子どものクラスや学校だけでなく、他クラス、他校のサポートも可能なので、地域の子どもたちへの視野が広がります。
検定運営、引率補助、授業のサポートに加え家庭科室のお皿を全部洗うなど、コロナ禍でなかなかできなかった学校整備にも着手しましたが、皆さん非常に協力的です。『子どもたちの教育環境をよくしたい』と主体的に取り組んでくださり、自身の学びにもつながりました」(山田氏)
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