地域に開かれた学校へ、公立の42.9%が導入「コミュニティ・スクール」の今 東京・三鷹市は小・中学校をまとめて○○学園に
教育委員会が伴走支援するコミュニティ・スクール
三鷹市のこのような小・中一貫教育は、コミュニティ・スクールが有機的に機能しているからこそ成り立っていると言っても過言ではない。三鷹市では、全学園に学園単位の学校運営協議会である「コミュニティ・スクール委員会」を設置している。
コミュニティ・スクール委員会委員は、各校の学校運営協議会委員を兼ねており、教育委員会から任命される形で、学校長、保護者代表(PTA会長など)や保護者OB・OG、学識経験者、地域協力者、住民協議会、民生委員などから構成されている(三鷹市の場合、任期は1期2年で4期まで継続可/市の非常勤特別職として各月定額の報酬を支給)。
「学校評価を実施し評価結果の検証を行う評価部会をはじめ、保護者や地域による学校の支援を推進する支援部会、学園やコミュニティ・スクール委員会の活動を発信する広報部会などに分かれ、学園・学校の教育方針を承認しながら学校が目指す方向性を共有し、地域の力を学校教育の充実に生かすための取り組みを行っています。コミュニティ・スクール委員会は、月に1度全体会を開催し、活動報告やよりよい学園・学校にしていくための熟議による意見交換を行っていますが、教育委員会の各学園担当者が必ず出席し、伴走支援を行っています」(松永氏)

学校を核とした「スクール・コミュニティ」の創造へ
近年、少子高齢化や情報化の中で子どもを取り巻く環境が大きく変化し、学校が抱える課題が複雑化、多様化してきている。地域と学校が連携し、社会全体で子どもたちの教育を担うことが重要視される中、注目を集めているのが「スクール・コミュニティ」だ。
スクール・コミュニティとは、文字どおり「学校を核としたコミュニティ」を表す。コミュニティ・スクールとは意味合いが異なるが、コミュニティ・スクールが向かう先のビジョンとして捉え、実践する自治体も増えてきている。
三鷹市では、2018年から日常の授業補助、校外学習の引率補助、ゲストティーチャーや放課後の学習支援など、教職員だけでは対応できない学びのサポートを行うため、学校と地域をつなぐ「スクール・コミュニティ推進員」の配置をスタート。コミュニティ・スクール委員会の一員として20年には市内の7学園すべてに配置された。学校と地域のさらなる連携を進めるためのコーディネーターとして、職員室や事務室に席を持ち、学校と地域を行き来しながら活動している。
「学校と地域をつなぐべく、コミュニティ・スクール委員会で学園ごとに、学校と地域諸団体の行事予定に加え、児童生徒の作品や地域資源である歴史や自然、文化などの情報を入れた『スクール・コミュニティカレンダー』を市の教育予算に計上して作製しているのですが、児童生徒・地域の皆さんと共に史跡を探検したりする際、スクール・コミュニティ推進員の方にいろいろ調整いただき大変お世話になりました。学校を核とした地域づくりをよりいっそう推進するため、スクール・コミュニティ推進員の支援にも力を入れています」(松永氏)
「スクール・コミュニティ」のさらなる発展に向け、三鷹市が打ち出したのが、「学校3部制」という構想だ。学校を地域の共有地「コモンズ」とするために、時間帯によって学校施設の機能転換を図るという考えで、「学校教育の場」(第1部)、「多様で豊かな体験・経験ができる放課後の場」(第2部)、「夜間、社会教育や地域活動など大人を主とした多様な活動の場」(第3部)として活用することを目指しているという。
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