伝えたい情報やメッセージを誤解なくわかりやすく
──文系ビジネスパーソンもデータを見ない日はありません。
私たちが「データを見る」というとき、それをグラフや地図などに変換する「データ可視化」が念頭にある場合は多い。このとき重要なのは、可視化の工程で基のデータに何らかの「編集」が行われている、という視点だ。
自分でグラフを作るときも、与えられたデータ全部を見える形にすることはめったにない。まずはデータを選び、絞っていく。私はコロナ禍初期に「新型コロナウイルス 国内感染の状況」というダッシュボードを、当時在籍していた「東洋経済オンライン」上に作った。ダッシュボードとは、複数のグラフや地図を一元化して表示するもので、これを見ると感染状況が一目でわかる。基にしたのは厚生労働省が発表しているデータだが、使ったのは公開データのすべてではない。非専門家、一般の人が利用しやすいようデータを絞り込んだ。
自分や大切な人が感染するリスクについて知りたい。そのニーズに応えるのは、国内の「市中感染」の状況を示すデータだろうと考えた。それなら、国外からのチャーター便で帰国した人や空港検疫も含む合計感染者数のデータは使わない。
人が「全体像を知りたい」と言うとき、それは必ずしも合計の数値そのものであるとは限らない。求められている情報が本質的に何なのか、どうすれば自分の伝えたい情報やメッセージを誤解なくわかりやすく伝えられるのか。そのための思考法を、本書では「データ思考」と呼んでいる。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら