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くら寿司への迷惑動画「逮捕」だけで喜べない理由 迷惑行為を撲滅する道のりは始まったばかり

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  • 木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者
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しかし、逮捕を免れようとして謝罪動画を撮ったのか、その後もふざけた投稿を続けていたのか、言い訳のような供述をしているのか、居場所のない若者が集まるところへ出入りしていたのか。これらはすべて大した意味のない報道であり、いたずらに人々の怒りをあおるだけで、論点をずらしてしまう危険性を感じさせられます。逮捕は入り口にすぎないだけに、メディアはもっと掘り下げたところを報じ、それを見る人々も危うさや怖さを広めていくべきでしょう。

まずメディアは、逮捕後に3人がどんな罪を問われるのか。また、どれくらいの損害賠償を求められるのか。さらにその後も、本人や周囲の人々がどんな心境で、生活がどう変わってしまったのか。その苦しさを継続的かつ具体的に報じていきたいところです。

現在のように、ふざけた投稿や言い訳のような供述を報じたところで模倣犯・類似犯の抑制にはつながりづらく、逆に「どうせノリでやっただけなのだろう」という軽い印象を与えてしまうかもしれません。

また、「居場所のない若者が集まる場所に出入りしていた」と報じられたことで、実際に「収入がなく損害賠償ができないのではないか」「逮捕されても大して後悔や反省していないのではないか」「こういう連中はむしろ『箔がついた』と思うのではないか」「連続強盗事件の“ルフィ”たちのようになっていくだけではないか」などの声が挙がっています。

つまり、このような報道で「逮捕してもあまり意味がないのかもしれない」と感じさせ、「模倣犯・類似犯の抑制につなげる」という逮捕の効果が薄れてしまうということ。飲食業界の苦境を思えば、このような論点がずれた報道をしている場合ではないのです。

ネット上に具体的な判例の共有を

逮捕のあとに報じたいのは、備品の交換、店内洗浄、機器の導入などの労力と費用にいくらかかったのか。「もう回転寿司には行けない」というイメージの悪化でどれだけ売り上げが下がったのか。取引や株価にどれくらいの悪影響があったのか。損害賠償の請求額はいくらになりそうなのか(その後、事実としていくらになったのか)。

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【見る側も自分たちで模倣犯・類似犯を減らすように】

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