工作から始まって、ロボットに興味を持ち、今はAIロボティクスベンチャーの経営者と一貫して好奇心の赴くままに歩んでいるように見える樋口さん。どうしてそんなことができたのかという問いにはこう答える。
「やはり、自分でモノを作り出すことが好きだったということだと思います。中学の頃からエンジニアになりたいと考えていました。そもそも自分は陸上の長距離選手で、スポーツ推薦で高校に進学しないかと誘われたこともあります。陸上で学んだことは、最後まで走り切ること。そこがメンタル的に大きな影響を受けているところかもしれません」
今、Closerは顧客ターゲットやビジネスモデルが固まり、本格的に船出をしようとしている。省人化小型ロボットシステムの導入契約も出てきて、シード期の資金調達も視野に入ってきたという。これから樋口さんは、ロボットでどんな社会の実現を目指しているのだろうか。
「私たちの基本的な技術が形になり始めてきたことで、向こう1年は安定して動くロボットを確実に立ち上げていきたいと考えています。私の最終的な目標は、省人化できる作業はロボットに任せ、人間が人間らくしく過ごすことができる豊かな世界を実現することです。そのためにもパーソナルコンピューターのように、ハードウェアをパッケージ化してソフトウェアベースで動く小型のパーソナルロボットを作りたい。そして将来的には世界に大きく広がるようなロボットを手がけたいと考えています」

Closer 代表取締役
1997年生まれ。小学生の頃からロボット開発に取り組む。2012年長岡工業高等専門学校に進学し、17年の「ロボカップジュニアジャパンオープン2017 Soccer Open」で優勝、同年に名古屋で行われた世界大会の「RoboCup2017 Junior Soccer Open」でもIndividual TeamとSuper Teamの2種目で優勝を果たす。18年と20年の2度にわたり独立行政法人国立高等専門学校機構 理事長特別表彰を受賞。19年には孫正義育英財団3期生に選ばれる。20年筑波大学大学院に進学し、現在は知能機能システム学位プログラム(博士前期課程)に在籍中。21年11月筑波大学発AIロボティクスベンチャーCloserを設立し、自動化が進んでいない食品産業をはじめとする業界にロボット導入を進めている
(写真:樋口さん提供)
(文:國貞文隆、注記のない写真:樋口さん提供、右下のみringotime / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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