幼少期からロボット開発、筑波大発ベンチャー起業の25歳・樋口翔太さんの素顔 長岡高専時代にロボカップ世界大会優勝果たす

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物心つくころからロボット好きで、小学5年生の時にRoboCup(ロボカップ)という自律型ロボットの大会に出場して以来、ロボットに魅せられてきた。そんな少年が成長し、今はAIロボティクスベンチャーCloserの代表として、さまざまな企業の課題解決に挑んでいる。現在25歳、筑波大学大学院に在籍しながらベンチャー企業を率いる樋口翔太さんは、幼い頃の好奇心をどのように育み、今の仕事にたどり着いたのだろうか。

筑波大学大学院在学中にCloserを起業

筑波大学発のAIロボティクスベンチャーであるCloserは2021年11月に設立され、現在2期目。これからまさに事業を本格化させようとしている企業だ。主力製品は工場の生産ラインの省人化小型ロボットシステムで、現在は慢性的に人手不足が続いている食品業界を中心に、生産効率化のためのロボット導入を提案している。

従来の産業用ロボットは大型で高額なものが多く、工場に設置スペースがない、あるいは大型投資が困難という理由でロボットを導入したくてもできないという企業が少なくない。またスペースが確保できたとしても、人が作業している既存ラインよりも多少広いぐらいのスペースしか確保できない、多品種少量生産のために多様な動作ができるロボットでなければ投資に見合うだけの効果が得られないなどの課題があった。食品業界もそうだった。

Closerで開発中の省人化小型ロボットシステム。小型で移動可能であり、多品種少量生産のラインにも対応できる。人件費と同程度で従来より価格が抑えられるという
(写真:樋口さん提供)

そこでCloserでは、少ない資金でも簡単に導入・運用ができる省人化小型ロボットシステムを提供している。小型かつ移動も容易なため、狭いスペースにも導入できるうえに、ハードウェアとソフトウェアをパッケージ化することで、多様な商品の生産に対応することができる。ロボットの導入というと導入工数がかかり、システムが複雑な印象があるが、Closerのロボットシステムは難しい知識や訓練を必要とせず、誰でも運用ができるという。すでに企業との実証実験をスタートするなど、これから事業を本格化させようとしている段階にある。

そんなCloserの代表である樋口翔太さんは現在、筑波大学大学院の博士課程に在籍している学生でもある。新潟県上越市生まれで、小学生の頃からロボットに興味があったというが、そのきっかけは何だったのだろうか。樋口さんはこう話す。

「もともと工作が好きでした。でも、親からは工作の本を買ってもらったくらいで、特別に電子工作やロボットなどの教育を受けたわけではありません。小学4年生の頃から学校の図書館の本を参考に電子工作をするようになり、RoboCup(ロボカップ)という自律型ロボットのサッカー大会に興味を持つようになったのがきっかけです。学校で配布される手紙でロボット教室があることを知り、そこからロボカップに出場したいと思うようになったのです」

幼少期から工作が好きで小学4年生の頃から電子工作をするようになる
(写真:樋口さん提供)

樋口さんにとってロボカップに向けたロボット制作は面白かった。ロボットキットで作るところからスタートしたが、キットだけでは自分の理想の性能を持つロボットは作れない。しだいにもっと高度な技術を使ってロボットを作りたいと思うようになった。でも、周囲に相談できる仲間は少なかった。そのため、本や雑誌を読んだり、実際にロボカップに出場している人たちのブログを参考にしたりしながら、知識を増やし、ときにはネットで知り合った仲間同士で情報交換もするようになった。

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