谷口:自動運転の開発を始めたのは2009年ですが、最初は10分の1のミニチュアカーみたいな自動車に、IZACと、RoboVisionを載せたんですね。
ただ、その時点ではROBO-HIは実験のための管理ツールだったんです。実験ですから、人を乗せてA地点からB地点まで動いて「わー、できた」みたいな感じです。
街の中を走らせてみて、気づいた
次に、2014年に工場や倉庫の中を走るCarriRo(キャリロ)の開発を始めて、2016年にはデリバリーロボットDeliRo(デリロ)の開発を始めたんです。この時、まさに一般の街の中、ここ東京都文京区で走らせたんですけれども、ピザ屋までとかコンビニまで行って帰ってくると、生活感が出る。
この生活感がRoboMapに反映されました。一般道の狭い道での自転車とのすれ違いなど、ROBO-HIの存在感が大きくなった。ロボットの普及には、共通インフラとしてのROBO-HIが不可欠だということに気づいたんです。
井上:技術を社会実装しながら、ビジネスモデルの構想がどんどん膨らんでいったわけですね。
谷口:私が学んでいた東京藝大ではアートの教え方がちょっと独特で、現場でたくさん実験して、そのなかで観察するんです。人の反応に対する観察力を高めて、デッサンを大切にする。そこで私もストーリーを作れるようになりました。
もちろん、思い描いたものも実際に実行しないと意味がない。実行すると修正すべきポイントも変わってきて、また次のものが描けるようになる。
井上:現場のデッサンによってストーリーを描くから、社会に求められるものになるわけですね。しかし、刻々と変化する構想に実業を合わせていくのも大変ではないですか。
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