PTAの上部組織「PTA連合会からの退会」が加速、古い体質に疑問の声が噴出 会費負担重い、市P・県P・日Pの役割明確化必要

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・ PTAの目的と性格
・ PTAの活動内容
・ PTAと学校の関係
・ 自動(強制)加入問題、個人情報問題、会費の使途などPTAが抱える課題の改善策

などを記した「奈良市PTA連合会 PTA運営の手引き」を作成。作成にあたっては、教育委員会の先生方にも協力を仰いだ。20年度より、各単Pに配布しHP上にも公表、自由にダウンロードできるようにした。また、校長会会長の先生を訪ね、校長会で先生方への周知もお願いした。一連の取り組みにより、入会意思確認を行う単Pの割合は、16年度の23%から22年度には85%と、大幅に増加した。

さらに、「年度始めに、単Pの役員さん向けに部会を開催し、『PTAの手引き』を“教本”に、PTAのあり方や運営方法などについて改めて知っていただく機会を設け、会計さんには別途、会計の学習会を開催しています。また、リーダー研修会(コロナ禍は休止中)では、奈良市で行われている教育内容や子育てに関連した学習を行っています」と言う岡田氏。

「初めてPTA会長になり、何から手をつけてよいかわからない」「PTA役員になったものの、どんな心持ちで何をしたらよいのかイメージできない」など、“PTA役員初心者”の保護者の不安を払拭する非常に有意義な取り組みなのではないだろうか。

年度始めに単Pの役員向けに行っているリーダー研修会
(写真:岡田氏提供)

運営方針の違いから、上部団体である県Pを退会

奈良市P連は、発足以来、その上部団体である奈良県PTA協議会(以下、奈良県P)から休会、復会を繰り返してきたが、17年に分担金の算出方法や活動の運営方針の違いから、奈良県Pを休会。2年間の休会中に、奈良県Pに対し話し合いの場を設けてもらえるよう打診を続けてきたが回答がなく、19年に退会した。

「財政難の中、奈良県Pから提示される分担金の負担が重いことに加え、いちばん大きかったのは、PTAの任意加入に対する意識の違いです。当時私たちは、先ほど申し上げたように、一時的に退会者が増えても任意加入の周知や入会意思確認が必要だと考えていましたが、当時の奈良県Pの会長さんは『PTAは全員が入っていることに意味がある』とのお考えでした。そこに大きな齟齬(そご)がありました」

市内の会員であれば誰でも無料で参加できる「みんなで学べる研修会」の様子
(写真:岡田氏提供)

奈良県P退会により、これまで奈良県Pに納めていた分担金を奈良市P連の活動の活発化につなげようと、市内の会員であれば誰でも無料で参加できる「みんなで学べる研修会」を開催しているという。

「コロナ禍で開催できない年もありましたが、これまでに、教育経済学者の中室牧子さん、教育評論家の親野智可等さんなどにお越しいただき、教育や子育てをテーマにお話ししていただきました。今年は先生の働き方改革について、奈良市P連として考えようということで、取り組み事例発表、パネルディスカッションに加え、教育研究家の妹尾昌俊さんに講演いただきました」

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