東急と新潟県が協定、「豪華列車」相互運転も実現? 防災や物資輸送で「包括連携」鉄道は含むのか

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新潟県が主要株主の第3セクター鉄道のえちごトキめき鉄道は地方随一ともいえる豪華観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」を有しており、東急の豪華観光列車「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)」は通常は横浜ー伊豆急下田間を運行するが、夏場には北海道にも乗り入れている。だとすれば、鉄道ファンなら誰もが聞きたいと思う質問がある。

THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)
東急の観光列車「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)」(記者撮影)
えちごトキめきリゾート雪月花
えちごトキめき鉄道の観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」(写真:えちごトキめき鉄道)

報道陣との質疑応答タイムですぐさま手を挙げて、壇上に座る花角知事と髙橋社長にこう尋ねた。「包括連携の将来の取り組みには鉄道の分野が含まれる可能性はあるか。新潟県の雪月花を伊豆方面に、東急のザ・ロイヤルエクスプレスを新潟方面に、相互乗り入れさせたら面白いのではないか」。

この質問に対して、まず口を開いたのは髙橋社長だ。「観光列車は目的があって走っている。その土地の人と関係を持ち、地方の活性化につなげることだ。それでいて乗る人も楽しんでもらえれば事業者としてもうれしい」。

ザ・ロイヤルエクスプレスは2020年から夏季に北海道でも運行している。コロナ禍にもめげずに利用状況は好調で、今年の夏も北の大地を走行する予定だ。「参加者のみなさまにも北海道のみなさまにも喜ばれているウィン・ウィンの関係だ。(新潟県内への乗り入れも)可能性はある」。

観光列車乗り入れ「面白いと思う」

ただし――、と髙橋社長が付け加えた。「車両の持ち込みはJRの協力が必要だ。われわれだけでできる話ではない」。

北海道の運行に資しては、JR貨物が北海道まで東北本線などを通って輸送し、非電化区間が多い道内では、JR北海道のディーゼル機関車が車両を牽引して運行する。確かに、ザ・ロイヤルエクスプレスの車両を新潟に持ち込むためにはJRの協力は不可欠だ。

続いて花角知事が発言した。「技術面やコスト面での検討が必要だが、面白いと思う」。

この発言には伏線がある。新潟県は山梨県、静岡県、長野県とともに「中央日本四県サミット」を2014年から定期的に開催している。日本列島の中央に位置する4県の知事が集まり、それぞれが直面している課題等について意見交換を行うとともに、共通の課題で連携を図ろうというものだ。

2021年11月に新潟県で開催された同サミットでは、花角知事は雪月花を各県の知事に紹介したうえで、「各県にも同じようなリゾート列車があるので、連携できればいい」と話している。東急との観光列車の連携がこの応用版と考えれば、脈ありだ。

次ページ雪月花の他県貸し出し「具体的に検討中」
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