任期満了前に公の場で発言少ない雨宮副総裁 日銀新総裁就任確実という市場の臆測高める
日本銀行の雨宮正佳副総裁は、40年余りにわたる日銀でのキャリア最後の数カ月間、ほとんど公の場で発言しておらず、4月に就任予定の新総裁を巡る市場の臆測を高める一つの要因となっている。
3月19日に任期満了となる雨宮副総裁の公の場での講演予定は1日現在、公表されていない。過去数十年にわたり金融政策の策定で重要な役割を担い、金融市場で「ミスター日銀」と呼ばれる雨宮氏の講演は強い関心を集めるにもかかわらずだ。
ブルームバーグの最新調査で次期総裁の最有力候補とみられている雨宮氏は、約44年にわたり日銀でキャリアを築き、デフレとの闘いでは最前線で政策運営をけん引してきたが、このままいくと最後の半年間で講演は1度きりということになる。
伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、「二つ可能性がある。一つは雨宮氏が次期総裁になるのが確実ということ」と指摘。「もう一つは、現時点の発言が4月以降の政策の方向性を示すシグナルと見なされる可能性があるため、雨宮氏が混乱を招かないようにしているためだ」と語った。
雨宮氏が任期満了を前に公の場で発言が少ないのとは対照的に、雨宮氏の前の副総裁である中曽宏氏は、日銀での約40年にわたるキャリアの最後の約半年間に5回講演を行っていた。中曽氏は雨宮氏に次ぐ次期総裁の有力候補とみられている。
任期満了までに日銀が雨宮氏の講演予定を1回以上発表する可能性はまだ十分ある。国会での答弁を除き、雨宮氏が最後に公の場で行った講演は昨年11月27日で、「気候変動と金融」がテーマだった。
岸田文雄首相が黒田東彦総裁の後任人事案を2月に国会に提示すると発言して以後、次期総裁を巡る推理ゲームが白熱している。黒田総裁の下で10年にわたり異次元金融緩和が続いた後、総裁人事が世界の金融市場を揺るがすリスクがあるため、岸田首相にとって失敗のできない決断だ。
岸田首相がベテランの日銀マンを新総裁に据えると日銀ウオッチャーが予想する理由はここにある。
原題:Amamiya’s Quiet Stretch Supports Speculation Over BOJ Nomination (抜粋)
More stories like this are available on bloomberg.com
著者:藤岡徹
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら