19世紀初頭に活動したサン=シモン、オーウェン、フーリエは、世界史の教科書などでは「空想的社会主義者」として簡単に触れられることが多い。しかし彼らは、当時の社会状況で生じた労働問題や格差といった問題を改善しようと行動した社会企業家・社会プランナーだった。
──サン=シモンはじめ3人は、ただあれこれ考えている「空想・夢想」で終わった人ではまったくなく、「行動・実践」の人であることを知りました。
そのとおりです。革命による共産主義樹立の理論が科学的と称揚される中、資本主義の下で社会の改善を目指した3人の行動・実践が、「あなたたちの考えでは何も変えられない」と一方的に空想的と批判されただけ。彼らは実際に行動する思想家であり企業家であり労働者でした。
彼らが生きた19世紀は歴史の大転換期。産業革命、そしてフランス革命を契機とした市民革命により民主主義と資本主義が広まった時期です。
それに伴い、資本家と労働者、富裕層と貧困層という2つの身分が社会に出現しさまざまな問題が噴出します。2つの身分の固定化を避け、一方による一方への抑圧や搾取を拒否し、社会で共に生きる一員として両者を融和させるにはどうすればよいか。この問題に取り組んだ点で3人は共通しているといえるでしょう。
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