イクメン台頭も「仕事を諦めるのは母親」の現実 『働く母親と階層化』藤田結子氏、額賀美紗子氏に聞く

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額賀美紗子氏と藤田結子氏
(撮影:今井康一)
(写真右)藤田結子(ふじた・ゆいこ)/明治大学商学部専任教授。米コロンビア大学社会学科修士課程、英ロンドン大学博士課程修了。専門は社会学。著書に『ファッションで社会学する』(共編著)、『ワンオペ育児』など。

(写真左)額賀美紗子(ぬかが・みさこ)/東京大学大学院教育学研究科教授。東京大学大学院教育学研究科修士課程、米カリフォルニア大学社会学部博士課程修了。主著に『越境する日本人家族と教育』、『日本社会の移民第二世代』(共著)など。
「社会で働け」「母として子ども第一に考えよ」──。女性活躍が推進された第2次安倍晋三政権以降、母親たちはこの相反する圧力の間で板挟みになってきた。女性間の格差が拡大する中、その葛藤も一様ではない。

母性神話、性別役割という呪縛

働く母親と階層化: 仕事・家庭教育・食事をめぐるジレンマ
『働く母親と階層化: 仕事・家庭教育・食事をめぐるジレンマ』(額賀 美紗子、藤田結子 著/勁草書房/2750円/240ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──女性活躍推進政策の中で、女性が出産後も働き続けることが推奨されています。

藤田:今の新自由主義経済の下で、女性には二重の役割が期待されている。1つは、不足する労働力を補うために働いてもらいたいというもの。夫の賃金が上がらず子育て支援などの社会保障も不十分な中、妻が稼ぐことで家計を補填してもらう狙いもある。

他方で、少子化を解消するために子どもも産んでほしい。母親になれば従来の保守的な母性が求められる。この両ベクトルからの圧力に、母親は押し潰されている。

額賀:この状況で、働く母親はどんな考えを持ち育児と仕事を担っているのか。それを明らかにするために2016年から始めたのが、本書の基になった総勢55人の働く母親へのインタビュー調査だ。

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