
(撮影:今井康一)
(写真右)藤田結子(ふじた・ゆいこ)/明治大学商学部専任教授。米コロンビア大学社会学科修士課程、英ロンドン大学博士課程修了。専門は社会学。著書に『ファッションで社会学する』(共編著)、『ワンオペ育児』など。
(写真左)額賀美紗子(ぬかが・みさこ)/東京大学大学院教育学研究科教授。東京大学大学院教育学研究科修士課程、米カリフォルニア大学社会学部博士課程修了。主著に『越境する日本人家族と教育』、『日本社会の移民第二世代』(共著)など。
「社会で働け」「母として子ども第一に考えよ」──。女性活躍が推進された第2次安倍晋三政権以降、母親たちはこの相反する圧力の間で板挟みになってきた。女性間の格差が拡大する中、その葛藤も一様ではない。
母性神話、性別役割という呪縛
──女性活躍推進政策の中で、女性が出産後も働き続けることが推奨されています。
藤田:今の新自由主義経済の下で、女性には二重の役割が期待されている。1つは、不足する労働力を補うために働いてもらいたいというもの。夫の賃金が上がらず子育て支援などの社会保障も不十分な中、妻が稼ぐことで家計を補填してもらう狙いもある。
他方で、少子化を解消するために子どもも産んでほしい。母親になれば従来の保守的な母性が求められる。この両ベクトルからの圧力に、母親は押し潰されている。
額賀:この状況で、働く母親はどんな考えを持ち育児と仕事を担っているのか。それを明らかにするために2016年から始めたのが、本書の基になった総勢55人の働く母親へのインタビュー調査だ。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
ログイン(会員の方はこちら)
無料会員登録
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら