「32歳で余命宣告」母が悩んだ子への死の伝え方 『2冊のだいすきノート』田村建二氏に聞く

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『2冊のだいすきノート』著者の朝日新聞記者、田村建二氏
田村建二(たむら・けんじ)/朝日新聞記者。1967年生まれ。93年、朝日新聞社入社。大阪および東京の科学医療部、医療サイト「アピタル」編集長などを経て、2022年から東京くらし報道部に。編集局編集委員。生殖医療、生活習慣病、がんなどの分野を担当。(撮影:尾形文繁)
「小さな子どもたちに、私の死をどう伝えたらいいですか?」。ステージ4のスキルス胃がんにより、2020年1月に32歳で亡くなった「みどりさん」。病状が進行して治療の手だてがなくなったとき、4歳の双子の娘にメッセージを残す手段として看護師から薦められたのが「だいすきノート」だった。若年性のがんと闘った一家に記者が迫った。
2冊のだいすきノート ~32歳、がんで旅立ったママが、4歳の双子に残した笑顔と言葉~
『2冊のだいすきノート ~32歳、がんで旅立ったママが、4歳の双子に残した笑顔と言葉~』(田村建二 著/光文社/1760円/288ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──みどりさんが罹患(りかん)したスキルス胃がん。判明したときにはすでに進行し、転移もありました。

スキルス胃がんは、胃がん患者全体の5〜10%を占めるといわれるが、通常の胃がんと異なる点がいくつかある。まず、早期発見が難しい。胃がんは胃粘膜の表面にこぶのようなものができることが多く、内視鏡やX線検査で比較的早期に発見できる。その段階で治療を始めれば、5年生存率は9割以上と高い。

一方のスキルス胃がんは、明確な腫瘍を作らず粘膜の下のほうに広がっていくため、内視鏡などで発見しにくい。原因もよくわかっていない。さらに特徴的なのが、通常の胃がん患者は男性が女性の2倍強で中高年に多いのに対し、スキルス胃がんは女性が半分を占め、若い年齢でも罹患すること。そしてがんの進行自体、非常に早い。

【2023年2月6日19時10分追記】初出時の記述に誤りがありましたので上記のように修正しました。

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