自治体と都市圏の不一致は、都市の効率化を阻む 『領域を超えない民主主義』砂原庸介氏に聞く

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『領域を超えない民主主義』の著者、砂原庸介氏
砂原庸介(すなはら・ようすけ)/神戸大学教授。1978年生まれ。2006年東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。専攻は政治学・行政学。著書に『大阪』(13年度サントリー学芸賞受賞)、『分裂と統合の日本政治』(第17回大佛次郎論壇賞受賞)など。
日本の多くの地域で、「地方政府の領域」、すなわち都道府県や市町村の境界と「都市の領域」は一致していない。意思決定は自治体ごとに行われるが、それは複数の自治体から成る都市の発展の足かせになっているという。
領域を超えない民主主義: 地方政治における競争と民意
『領域を超えない民主主義: 地方政治における競争と民意』(砂原庸介 著/東京大学出版会/3520円/248ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──2つの領域というテーマ設定は独自のものですか。

自治体は政治的な単位で、都市は社会経済的な範囲だ。自治体の領域はそう頻繁に変わらないが、都市は年々拡大していくため領域の不一致は避けられない。同様のことは世界中で起こっている。領域同士の利害の不一致が問題を引き起こすことは実感とともに知られているだろう。しかし、日本の政治制度の下での研究はこれまで十分に行われてこなかった。

今、これに関して顕在化している問題を2つ挙げると、1つには地方政府間・政治家間の競争の激しさ、もう1つには地方政府同士の連携が必要となるような大きな意思決定の難しさがある。タイトルが示すのは、自治体という領域を超えて連携することができない、日本の民主主義の現実だ。

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