50代以上の方に向けた『成熟のすすめ』
──「成熟」をテーマとした理由を教えてください。
今の日本では、大人が成熟していないからです。人間は年齢を重ねたからといって自然と成熟に向かいはしないし、「さあ、成熟しよう」と思ってすぐさま成熟できるわけでもない。私は最近、若いときの「変化」や「成長」が、年を取ってからの「成熟」なんじゃないかと思うんです。
約10年前、若い世代を対象に『野心のすすめ』を書きました。当時は無欲な若者像や諦めの蔓延に社会の注目が集まっていて、身の程よりも上を目指す人生はみっともない、という風潮があった。そんな時代だからこそ伝えたかったのが、健全な野心、つまり「もっと価値のある人間になりたい」と願うことの大切さです。でも今は、その頃のよくない傾向がもっと進んできたように感じる。どうやら若い人に限らず、本来であれば成熟が望まれる年代にもやや幼稚な傾向があるな、と。
私は、年相応の落ち着きや他人への思いやりといったものに加え、成熟とは「昨日のままの自分だと、少しつまらないよ」ということでもあると考えています。本書は中高年、50代以上の方に向けた本ですが、この点は『野心のすすめ』ともつながっているんです。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら