しかし、田口さんには3人の子どもがいる。夜勤もある看護師の仕事をしていて育児はどうしていたのかと問うと、両親がまだ元気なのと、近くに住む妹夫婦に協力してもらっていたそうだ。特に母親は元料理人のため料理がうまく、食事は主に母親が作っていた。
思春期の子どもは難しい年頃だが、田口さんの子どもたちは皆、自分の家が他の家と違うことを理解していたのと、田口さんが看護師になるために必死で勉強している姿を見ていたため、「生きるためには勉強が必要なのだ」と学び、3人ともきちんと勉強に取り組んでいるという。
貧困は知恵と教育で回避できる
田口さんも日々、「貧困は知恵と教育で回避できる」と子どもたちに伝えている。そのおかげで3人のうち2人は中高一貫の公立校に合格。3人とも素直な良い子に育っているそうだ。
「長女は今高2で大学に進学したいと言っています。コロナ禍でしばらくはオープンキャンパスがリモートだったのですが、昨年はようやく対面でオープンキャンパスに参加できるようになったので、一緒にいくつか大学を回りました。私立だと学費が厳しいので奨学金で国公立を目指す予定です」
元専業主婦だった田口さんは離婚後、家族の協力と国の制度を利用して貧困から抜け出したが、自分と子どもたちのことでいっぱいいっぱいで、もう恋愛や再婚はめんどくさいと思っているという。また、あのまま借金地獄の生活を送るより、離婚して本当に良かったとも語った。
「コロナ前は関西に住んでいた頃の友人に会いに行くこともありましたが、今はこのご時世ですし、医療従事者なのであまり友人とは会わずに過ごしています。まぁ、私がLINEとかマメに送るタイプではなくめんどくさがり屋なのもあるのですが……。
子どもたちの大学の奨学金返済もあるので、看護師のしごとは身体が健康な限り70歳までは続けたいです。あと、子どもたちに迷惑をかけたくないので。でも老後の資金までは手が回らないかもしれないので、そこは子どもたち3人にちょっとずつお金を出してもらって施設に入れてって冗談っぽく言っていますけど(笑)」
そして老後の楽しみとして孫の顔が見たいと明るく語った田口さん。42歳で看護師を目指したエネルギッシュさと生きていくためのたくましさが伝わってきたインタビューだった。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら