タイトルどおりに内容も「不穏」な本だ。
文化人類学者である著者は、2011年夏にソロモン諸島のマライタ島でフィールドワークを行った。本書はその記録を紹介しながら、現地住民の習慣や生活、文化を理解・記述することの意味について、思索を展開する。
調査期間の最後には、現地の人々がコミュニティーの一体性を確認する大規模な祭典が予定されているのだが、そこに至る過程で続発する不幸や人々の前に現れるさまざまな謎は、読者に「何かが起きる」感覚を与え続ける。著者はそれら一連の出来事について、文化人類学の理論的な文脈を参照しつつ、ともすれば調査を行う自分自身の立ち位置を掘り崩しかねないような鋭い考察を重ねていく。
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