科学技術と介護を「人間性の手続き」を軸に描く 『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』書評

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『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』長谷敏司 著
プロトコル・オブ・ヒューマニティ(長谷敏司 著/早川書房/2090円/296ページ)
[著者プロフィル] 長谷敏司(はせ・さとし)/作家。1974年生まれ。関西大学卒業。2001年に第6回スニーカー大賞金賞を受賞した『戦略拠点32098 楽園』で作家デビュー。著書に『円環少女/サークリットガール』『あなたのための物語』『BEATLESS』『My Humanity』『ストライクフォール』などがある。

高齢化社会の到来によって、介護が誰にとっても大きな課題となりつつある。とくに経済的に介護機関に頼れない人々にとって、親の介護は重い負担だ。介護問題の難しさの1つは、認知能力の衰えた身内を受け入れ、手助けしなければならないことにあるだろう。元気だった頃の姿を知る者にとって、介護は辛(つら)い体験になる場合が多い。

こうした問題に対応するための科学技術は、どれほど進んでいるのか。身体活動を支える技術としては、衰えた体の動きを支える身体拡張の技術が提案されている。ロボティクスの分野の中で、身体拡張技術は日本の研究者が大きく貢献した分野だ。

一方で、最先端の科学技術は時に独りよがりの問題解決手段にとどまり、必ずしも人々の切迫した要求に応えるものにならないという現実もある。技術の限界、消費者の経済的な事情、社会的な事情がある中で、科学技術は私たちの生活、そして私たちの相互のやり取りをどのように変えうるだろうか。

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