関東と関西で大きく違う「電車内の迷惑行為」 朝夕の混雑が復活し、気になる点が増えてきた

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3位は「乗降時のマナー」。扉付近に立ちほかの乗客の乗降を妨げるなどの行為で、2020年度から3年連続の3位だ。

東急2020 ドア横拡幅車両
扉付近に立つ客の対策としてドア横のスペースを広げた電車も登場している(編集部撮影)

4位は「荷物の持ち方・置き方」で昨年度の6位から順位を上げた。朝夕の時間帯は列車が混雑しはじめており、背負いリュックの持ち方、床に置かれたキャリーバッグなどが気になるという人が増えてきたのだろう。5位は「周囲に配慮せずせきやくしゃみをする」。昨年度の4位から順位が下がった。これらの項目の順位変動も、コロナ禍が落ち着いて、日常に戻り始めていることを示すものといえる。

6位以下で順位の変動が大きいのは、9位の「優先席のマナー」。昨年の13位から一気に順位を上げた。また「その他」も昨年の16位から11位へと順位を上げた。ランキング項目にはない迷惑行為が増えているのだ。

12位の「エスカレーター、エレベーターの利用の仕方」も2020年度の16位、2021年度の14位からじわじわと順位を上げているのも気になるところだ。鉄道各社はエスカレーターの乗り方について啓蒙活動を行っているが効果は上がっていないようだ。

一方で、6以下では順位を下げた項目もある。「ヘッドホンからの音もれ」は昨年度の9位から今回は10位へ。「車内での化粧」は11位から13位へ。「電車の床に座る」は12位から14位へ。「混雑した車内での飲食」は10位から15位へ順位を下げた。これらは過去の推移を見ると順位が低下傾向にある。マナーが浸透してきたようだ。

関西は車内での会話に寛容?

関東と関西に分けた地域別のランキングも発表されている。結果は以下のとおりだ。

関東
1位:騒々しい会話・はしゃぎまわり
2位:座席の座り方
3位:乗降時のマナー
4位:周囲に配慮せずせきやくしゃみをする
5位:スマートフォン等の使い方
関西
1位:荷物の持ち方・置き方
2位:騒々しい会話・はしゃぎまわり
3位:座席の座り方
4位:乗降時のマナー
5位:優先席のマナー

関東と関西で順位が違うのが興味深い。騒々しい会話やはしゃぎまわりが関東でトップ、関西で2位という結果は、関西のほうが車内の会話に寛容ということを示しているのだろうか。

一方、関西でトップの荷物の持ち方・置き方は関東では上位5項目に入っていないのが興味深い。

荷物の持ち方・置き方は2018年に迷惑行為ランキングの総合1位になったことがある。このときは関東で1位、関西で2位だった。つまり、その後、関東では荷物の持ち方・置き方のマナーは改善されたが、関西ではあまり改善していないということになる。これは関東と関西の鉄道会社の啓蒙活動の差によるものなのか、それとも地域性の違いによるものなのか。迷惑行為ランキングから実に多くのことを考えさせられる。

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