TDKが追い風とみる「デバイスの高機能化」の行方 スマホ停滞は痛手だが、自動車電装化が補う

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TDKの齋藤昇社長

さいとう・のぼる/1966年生まれ。1989年同志社大学法学部卒業後、TDK入社。2007年電子部品営業グループ欧州営業統括部長、2011年執行役員、2014年電子部品営業本部長、2015年戦略本部長、2017年センサシステムズビジネスカンパニーCEOなどを経て、2022年4月から社長(撮影:今井康一)

電子部品大手のTDKは、利益柱のスマホ向けの小型二次電池で高シェアを誇り、コンデンサーやインダクタといった受動部品では自動車向けに特に注力する。そんなTDKで2022年4月に新社長に就任したのが、齋藤昇氏だ。社長就任以前はセンサー事業のトップとして、2017年に買収したアメリカ企業の立て直しを進めていた。2022年はスマートフォン市場が冷え込む一方、自動車の電装化がいっそう進んだ年だった。市場の見通しや今後注力する製品について聞いた。

スマホ市場の回復は2023年中ごろ

――2022年はスマホ市場が厳しかったですが、TDKにはどのような影響がありましたか。

2022年は地政学リスク、原材料価格やエネルギー費用の高騰、多少落ち着いてきていると聞くが物流の混乱と、いろんなことが起きた年だった。電子部品業界にも影響が出た。

スマホを中心とするICT分野で大きく調整が入り、今も調整局面の真っただ中にある。原因は景気変動やコロナ禍で、スマホの買い替えサイクルが伸びるなどの消費者心理にネガティブな影響があった。なかでも、最大の市場でもある中国ではロックダウンが起き、需要が減ったことが供給面での調整に影響を及ぼしている。

2023年の中ごろまではこういう状況が続くと見ている。ただ各国の景気刺激策が時間を追うにしたがって効いてくる。新製品が需要を突然喚起するわけではないが、現在のスマホの在庫もはけていくので、状況が上向くのが2023年中ごろではという見立てをしている。

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