量より採算は社長の責任
――2023年の鉄鋼生産の見通しは。
日本の粗鋼生産量は2022年度が約9000万トンとなる見通しだ。2023年度は国内需要が自動車生産の改善で微増だが、海外需要は中国がどこまで戻るかはまだわからない。今日時点では2023年度の粗鋼生産量は9000万トンから9500万トンの間だと思う。
――世界的に鉄鋼需要が低迷する中でも2022年度は2期連続の最高益を予想しています。要因の1つとして製品を適正な価格で販売できるようになったことがあります。
長い間、ひも付き(大口顧客との相対取引)の価格是正が課題だった。ひも付きは市況品とは違う品質の製品を、安定的に供給しているのでマージンがないと事業をやっていけない。そのこと自体は顧客も理解している。だが、市況が安かったり、安く出している競合がいると、営業は量を優先して価格が二の次にならざるを得ない。これは経営の問題であり、社長の問題だ。そこで余計な負担を営業にかけないように過剰能力を落とした。高炉4基を休止して生産能力を約2割削った。
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