日本製鉄が大逆風下で中間決算として最高益を達成した。脱炭素化で激動の時代を前に、朗報となるのか。
日本製鉄の業績が絶好調だ。2023年3月期の中間決算(2022年4~9月)は、本業のもうけを示す連結事業利益が前年同期比13.4%増の5417億円となった。これは中間決算での過去最高となる。
事業環境が追い風だったわけではない。むしろ、非常に厳しかった。ヨーロッパでは戦争、中国ではロックダウン、アメリカでは利上げが行われるなど世界経済が減速する中、鉄鋼需要も低迷している。世界の粗鋼生産は2022年8月まで13カ月連続で減少。日本製鉄の4~9月の粗鋼生産量(単独)は前年同期比15.8%減の1704万トンだった。
しかも、数量が出ない状況下で原材料価格がハネ上がった。特に原料炭は4~6月に526ドル、7~9月も287ドルと前年同期の117ドル、203ドルから大幅に上昇した。
「実力ベース」では減益に
そうした中での最高益には会計上の特殊要因がある。
原材料高そのものが利益を押し上げる「在庫評価益」が約2400億円発生したのだ。在庫評価益とは、原料在庫を総平均法で評価している企業の場合、原料上昇局面では以前に仕入れた安い原料が会計上の原料単価を引き下げることで得られる利益をいう。これは会計上の実現益ではあるが、原料相場の変動による時間差から生まれる利益であるため、日本製鉄は『実力』ではないとする。
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