アメーバ経営でも先行投資に注力
──稲盛氏の経営哲学「京セラフィロソフィ」と、従業員を小集団に分け、集団ごとに独立採算で運営する「アメーバ経営」は、今の京セラにマッチしていますか。
京セラフィロソフィの中には、人としてどうあるべきかという内容と、誰にも負けない努力をするといった事業を行ううえでの内容がある。前者は言葉を含めていっさいいじる必要はない。現在、後者はニュアンスを変えないと伝わりにくい部分がある。ほとんど手作業で製品が造られていた頃と違って、仕事のアウトプットが時間と比例しなくなってきたからだ。
アメーバ経営でも、形を変えるべき組織が増えてきた。月に数千万円程度しか出荷しない製品であれば、原料を仕入れて製品を造り出荷するまで10人くらいで完結する。だが、例えばコンデンサーは月に数十億円規模で、同じものを大量に生産する製品。関わる従業員は100人単位になる一方、仕事では、10人くらいのチームでないと双方向の会話が成り立たない。以前と異なる指標を約10人のチームそれぞれに導入して、10人で構成されたチームを10個集めて全体の数字を変える、という形にすべき組織が増えてきた。
──アメーバ経営では赤字になりにくい反面、成長に向けた設備投資をしにくいのでは。
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