「西代洋」膝を壊しても貫くぽっちゃり芸人の矜持 石塚英彦から学んだ「ベタであること」の覚悟

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今回、最低1カ月ほど入院しないといけないんですけど、芸人人生でこんなに長く休むのも初めてです。変にスピリチュアルにとらえるとか、そういうことではないですけど、ここでいったんリセットして、ここからまた新たな自分として歩み始める。そういう時期だったのかなともとらえています。

この連載は毎回読ませてもらってるんですけど、ホンマにこの企画はエライところを突いているというか、ホンマに僕らの年代が迷いの時期でもあるんですよね。芸人にとって。

僕らの世代の感覚で言うと、まず芸人の世界に入って何とか頑張って劇場のレギュラーメンバーになる。そこからラジオのお仕事とかが始まって、関西の賞レースで結果を出し始めると、テレビのロケに行き始める。次はスタジオに行くようになって、いつの間にか深夜で冠番組もやらせてもらい、そこから東京に行く。これが売れるパターンの王道だったんです。

何とか居場所を作っていく

ただ、この道を進める人はごくわずか。千原ジュニアさんもおっしゃってましたけど、最初は野球の打順でいうところの4番を目指してこの世界に入るけど、現実に照らし合わせて「何とか、8番に滑り込めないか」「代走ならチャンスがあるのでは」「守備固めでも」みたいに何とか自分の可能性を模索してこの世界に残ろうとする。

それと、僕らの場合はコンビとして賞レースで結果を出すというタイプではなかったので、テレビの前説に行って、そこで司会の方なんかに面白がってもらってテレビの露出を増やして、何とか「テレビで見たことがある」感をキープしたうえで居場所を作っていく。

でも、こちらが年々歳をとっていく中で、毎年「M-1」王者をはじめ、あらゆる賞レースのチャンピオン、ファイナリストがどんどん出てくる。どうやって自分の場所を保つのか。作るのか。これはね、本当に簡単ではないことだと思います。

そんな中で、僕が本当にありがたかったのは「ホンジャマカ」の石塚英彦さんと出会えたことでした。

西代洋
グルメロケの帝王・石塚英彦さんとの出会いが転機になったという西代洋さん(写真:筆者撮影)

10年ほど前に「水野真紀の魔法のレストラン」(MBSテレビ)のロケでたまたま石塚さんとご一緒させてもらいました。

キャリア的にはほぼ「ダウンタウン」さんと同じくらいで、レジェンド級の方だったんですけど、すごくフレンドリーに接してくださいまして。「吉本が大好きで、新喜劇もいつも見てるんだよ」と石塚さんの方から気さくに話しかけてくださったんです。

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