「私も大学卒業後、米国で仕事をするときに自分がマイノリティーになるという体験をしました。多様な世界で生き残っていくためには、自分の価値を示さなければなりません。そのときは意識していたわけではありませんが、後で自分の人生の中で大きな転換点になったと感じています。得てして私たちはマジョリティーの立場になびく傾向がありますが、マイノリティーになれば見えてくるものもある。当然、摩擦はありますが、ジェンダーギャップの解消、そしてダイバーシティーを包括していくことで、教育でもビジネスでも世界に通用するような新しいものが生まれていくと思っています」
外国人がいなければグローバルなサービスは作れないし、女性がいないと男女が満遍なく使うサービスは作れない。国や年齢、宗教も同様で、みんなに受け入れられるものを作るにはダイバーシティーがないと実現できない。だからこそダイバーシティーが大事というわけだが、そのためにも、中高生にはさまざまな体験をしてほしいと強調する。
「私にも子どもがいますが、子どもたちには学校以外でもさまざまな体験してほしいと思っています。そこから自分の好きなこと、得意なことを見つけていく。とくに中高生は狭い世界から抜け出して、こんな生き方もあるということを知ってほしいのです。私もさまざまな場所を旅行しましたが、自分が知らないもの、新しいものを見ることで好奇心が生まれていく。今の中高生もさまざまな体験をする中で、体で衝撃を感じるような好奇心を持ってほしいと思っています」
今後も「SETM女子奨学助成金」をはじめ、ジェンダーギャップの解消、ダイバーシティーの促進に取り組むという山田氏。財団では、大学入学者におけるSTEMの女性比率を2021年度の18%(文科省「学校基本調査」を基に算出)から35年度には28%に引き上げることを目標として掲げている。そのために、これからもさまざまな新しい取り組みにチャレンジしていく方針だ。
「私たちの会社はスタートアップ企業なので、ほかの会社と同じことをやっていても成長できません。そのためにも人と違うことを大胆にチャレンジできる人材が必要となります。同じように、これから日本社会の課題を解決していくためには、好奇心を持って、大胆にチャレンジすることが大事になってくるのではないでしょうか。これから私たちの財団はもっと活動の場を広げ、将来の日本社会に貢献していきたいと考えています」
(文:國貞文隆、注記のない写真:山田進太郎D&I財団提供)
東洋経済education × ICT編集部
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