メルカリ・山田進太郎、「女子中高生の理系志望者」が増えると起こる大変化 財団設立でSTEM分野を目指す女子に奨学助成金

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STEM分野の人材需要が大きければ自然と教育も変わっていく

こうした活動を通して、実際に中高生の話を聞く機会もある山田氏だが、学校教育の現状についてどう見ているのだろうか。

「詰め込み的な教育は、私たちの時代から見ても、それほど変わっていないという印象です。ただ、詰め込み教育は必要不可欠なところもあると思っています。むしろ、それ以上に問題なのは、子どもたちが学校と家庭だけという狭い世界で行き来しているように見えることです。社会に対するリアリティーを持てていない。その意味でも、もう少し社会を知るための経験をしたほうがいい。ネットも発展し、今は自分で能動的に学ぼうと思えば学べる時代。もっと外の世界にも目を向けてほしい。学校の世界だけで完結してしまうのは、もったいないと思いますね」

日本では起業家輩出という点においても、海外と比べ見劣りするとよく言われるが、山田氏は、その点についてこう話す。

「何か1つに答えがあるわけではありませんが、米国ではオンリーワンになることに主眼が置かれているため、社会に出るときも自分のやりたいことをやるという意識が強いように思います。一方、日本ではオールラウンドプレーヤーというか、優秀な組織人を求める傾向があり、その分、自分の個性を埋没させてしまうのかもしれません。米国とは社会文化的な違いもあり、教育にのみに問題があるとは言えません。しかし、もし多くの女性がSTEM分野へ進めば、科学技術の発展が促されるとともに、女性の給料も高くなり、リモートワークや産休・育休が取りやすい柔軟な働き方が可能となります。女性が社会で評価されたり活躍したりする機会が増えていくことで、結果として起業家も増えていくと考えています」

山田進太郎(やまだ・しんたろう)
公益財団法人山田進太郎D&I財団 代表理事、メルカリ 代表取締役CEO
1977年愛知県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。大学在学中、楽天でインターンとして「楽天オークション」の立ち上げに携わる。卒業後にウノウを設立し、ウェブサイトの企画運営やソーシャルゲームなどを展開する。2010年ウノウを米シンガに売却、12年にシンガジャパンを退社し、13年にメルカリを創業。フリマアプリ「メルカリ」を展開し、18年には東証マザーズに上場を果たす(22年東証プライム市場に昇格)。 21年山田進太郎D&I財団を設立

ただ、社会ではダイバーシティーの促進が問われているものの、摩擦を心配する向きもあり、その進捗は遅いと言わざるをえない。しかし、逆に社会が欲しい人材が変われば、教育が変わる後押しにもなるはずだ。STEM分野の人材需要が大きいのなら自然と教育も変わっていくだろう。

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