文科審議官・伯井美徳「日本の教育の根本揺らぐ危機」、教員の処遇改善に全力 つねに新たな課題生まれる学校現場は「生き物」

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これまで日本の義務教育は高い水準を維持してきました。その根本が揺らぐことは、わが国の教育の危機です。公立学校教員の勤務時間制度と処遇については、全力でやらないといけないと考えています。

伯井美徳(はくい・よしのり)
文部科学審議官
1985年神戸大学法学部卒業後、旧文部省入省。その後、横浜市教育委員会教育長、初等中等教育局教科書課長、同教育課程課長、同財務課長、大臣官房人事課長、大臣官房審議官、大学入試センター理事などを経て2019年高等教育局長、21年初等中等教育局長を経て22年9月より現職

一方で、働き方改革の取り組みは着実に前進しています。19年1月に中教審が取りまとめた方策では、学校及び教師が担う業務の明確化・適正化を促進するため、文科省、教育委員会、学校がそれぞれ取り組むべき内容が提示されています。この考え方がだいぶ浸透してきて、先生が本来の仕事に取り組める時間が増えてきました。

しかし、新たな課題も出てきています。発達に特性を持つ子どもたちへの対応、不登校の児童生徒の増加、外国人労働者の子弟の教育など、新たな課題に対していかに人的な手を打ち、公的な仕組みをつくるか。学校現場は生き物であり、つねに新たな課題が生まれるもの。だからこそ、効率化したり、人的支援をしたりと、文科省も対応していく必要があります。

──最後に、教員や教育委員会といった、さまざまな教育改革を現場で担う方々へのメッセージをお願いいたします。

新学習指導要領という大きな変革がスタートするタイミングでコロナ禍となり、感染防止と学習の継続を両立させるために、学校現場では並々ならぬ努力をしていただいていきました。そのことに対し、文科省として感謝とお礼を言っても語り尽くせません。

「1人1台端末」が整備され、新たなツールを使って個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させることが、子どもたちの一生涯の成長につながります。そのために、文科省もしっかり支援していきますので、現場においても、新しい学びに向けた積極的な取り組みをお願いいたします。

先生という仕事は、人の一生に関わる極めて重要な職務です。文科省もそれを十分認識して処遇、勤務時間の実態を把握しながら、先生が先生の仕事をしっかりできるよう環境整備に取り組んでいきますので、ご注視ください。

(文:吉田渓、撮影:尾形文繁)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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