近代資本主義は事実上、1492年に始まった。クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸に流れ着いた年である。コロンブスだけでなく、金(カネ)を稼ごうと、多くの西欧の冒険家が世界へ渡っていった。いわゆる大航海時代の始まりだ。近代資本主義とは、移動、拡大、膨張の時代のことである。
「2つの外部」が近代資本主義を動かした
西欧諸国は、略奪、征服、交換で、そのほかの地域から富を奪った。奪った分だけ経済は拡大した。
閉じていた経済では、技術革新があっても、品質が改良されるだけで、その改良分を以前よりも多く払うことはできない。所得は変わっていないから、その財に払える価格は前と同一で、その場合、経済的には価値は同じ(不変)となり、経済は拡大しない。よって経済成長もない。これが、中世までの繰り返しの循環経済である。
それが1492年以降、外部が生まれたことで、外部からの富の流入が経済の拡大をもたらした。所得が増えたから、払う総額も増えた。これに呼応して、売れる商品を作り始めた。
そして、17世紀には、さらなる経済のテイクオフ(離陸)が起きた。ぜいたくの始まりである。ヴェルナー・ゾンバルトが『恋愛と贅沢と資本主義』で主張する、近代資本主義の本格的な始まりのメカニズムである。伴侶や恋人を見せびらかすための宮廷でのパーティというものが「発明」されたことによる需要増加である。
それまでは、妻や恋人は人目につかないように隠していたが、彼女たちを着飾らせて、躍らせて、みなに見せびらかす、ということが始まったのである。ヴェルサイユ宮殿は、ルイ14世が妾のラ・ヴァリエールのために造り、そこは豪華絢爛に飾り付けられ、パーティが行われたと言われる。「国王に負けじ」とそのほかの貴族たちも妻や妾を着飾らせ、パーティで見せびらかした。女たちも、影の存在から一躍主役として舞台に踊り出た。ぜいたくは無限に膨らんだ。
これこそが、近代資本主義を膨張軌道に乗せた、循環経済の外部からの有効需要の注入であった。2つの外部の存在が、近代資本主義を動かしたのである。
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