国家転覆計画も…ドイツ悩ます「極右団体」の脅威 貴族の子孫や警察官、現役兵士など25人を逮捕
「もし、AfDの元連邦議会議員がこの陰謀に関与しているという最初の報道が確認されれば、AfDという政党がどんな泥沼に陥っているかがわかる」と、3大政党の1つである自由民主党の議員、クリスチャン・デュール氏は話す。「これはドイツだけのことではなく、議会制民主主義の破壊というのが真相だ」。
主犯格は、旧ドイツ王室の子孫で71歳のハインリヒ13世ロイス公と判明した。同氏は新国家元首に指名されていた。
すでに今年、ロイス家は、ハインリヒ13世がライヒスビュルガーに関与していることを理由に同氏を「陰謀論者」「混乱した老人」と呼んで距離を置いている。
ロシア政府の代表者との接触を試みた
検察によると、同団体が話すところには、ロシアやアメリカを含むさまざまな国家の政府、情報機関、軍隊からなる技術的に優れた秘密連合である「同盟」による迅速な介入によって、「解放」が約束されているという。
ハインリヒ13世は、ベルリンのロシア大使館を通じて、ロシア政府の代表者と接触しようとした。検察当局が「ビタリア・B」と名指したロシア人が、モスクワとの接触を試みる際に彼を助けたと考えられている。しかし検察は、接触したロシアの情報源から肯定的な反応を得た形跡はないと述べた。
ロシア政府の報道官は2日、この陰謀を「ドイツの内部問題」だと指摘。ドミトリー・ペスコフ報道官は記者団に対し、「ロシアの干渉を疑うことはできない」と述べた。
ドイツの情報機関は長年にわたり、国内における最大の脅威は国内の極右過激派グループによるものだと述べてきた。2019年に右翼過激派がドイツのヘッセン州で地方政治家を殺害し、同年にはシナゴーグを襲撃しようとした。その1年後には、極右テロリストが9人の移民と移民の子孫を殺害した。
こうしたすべての攻撃によって、ドイツの法執行機関は断固とした行動を取らなければならないという危機感を募らせていると、アナリストや当局者は話している。
テューリンゲン州の情報局長であるクラマー氏は、「最も重要なことは、民主主義が十分に強化されていることと、情報機関、警察、検察の連携が機能していることだ」と話す。「民主主義の敵は、このことに気づくべきだ」。
(執筆:Katrin Bennhold記者、Erika Solomon記者)
(C)2022 The New York Times
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